新しいHHKBに囲まれる生活を送って以来、Happy Hacking Keyboard Professional2がずっと眠ったままでした。
ちょっと勿体無いなぁと、もやもやしながら生活していました。魚住惇です。
この記事よりも前に、HHKBのラバードームを交換したという記事を書きました。
その記事にも書きましたが、ラバードームという部品を交換することになったのは、TwitterでやりとりのあったTeo@Pazz_Teoさんという方がきっかけでした。
このお方、僕がラバードームを交換したという記事をブログに公開したところで、
「Deskeyで販売されている静音リング、良かったら要りませんか?」とDMを送ってきてくださったんですよ。
この度はこのお言葉に甘えて、送っていただくことになりました。ありがとうございました。
沼に落とす手順を正確に心得ていらっしゃるお方です(褒め言葉)。
でも僕が普段使っているのは、HHKB HYBRID Type-Sです。既に純正の静音リングが取り付けられた静音モデルです。
だから正直、いただいたとしても純正の静音リングを外すのもなぁと思っていました。
そんなところで、キーボードの整理をしていたら、大学時代に購入した初めてのHHKBPro2が目に入ったのでした。
**これに静音リングを取り付けてみよう。そうしたら音が改善されるかもしれない。**この気持ちが今回の作業の原動力です。
ちなみに静音リングがついていない、つまりType-SではないHHKBというのは、入力した時の音はこんな感じ。
かなりうるさいです。これは確かに人に迷惑がかかるような音です。
ただこれ、どのタイミングでの音がうるさいかというと、
Originally tweeted by 魚住惇⌨️『教師のiPad仕事術』 (@jun3010me) on 2022/1/23 Sunday.
キーを押した時ではなくて、押したキーから指を離した時の、キーが戻る時の音だったのです。
静音リングというのは、そのキー戻る時に当たる場所にクッションの役割をさせるというもの。
ラバードームを交換した際にHHKBを分解した時にみた構造を思い出して、なるほどと納得しました。
というわけで今回はHHKB Pro2に、Teo@Pazz_Teoさんから頂いた静音リングを装着してみたという話をします。
HHKB Pro2を分解する
これが僕が長い間眠らせていたHHKBPro2です。英語配列無刻印白に、中華製の全部ホワイトのキートップを取り付けています。
キートップは白いんですが、ボディはかなり黄ばんでいます。
そうそう、キーの部品のことをキートップと呼ぶのかキーキャップと呼ぶのか問題ですが、
PFUはキートップと商品名で言っていて、自作キーボード界隈ではキーキャップと呼んでいることから、
Topre系のキー部品のことを「キートップ」と僕は呼ぶように決めています。なのでこの記事で出てくるキーはキートップと記述します。
裏面のネジを外して、基板に取り付けられた沢山のネジを外して出てきた、本体の表側の裏です。
あとびっくりしたのが、スペースキーやShiftキーの部分です。グリスが塗られています。こういう細かい部分にルブが施されているの、感動しました。
今回はラバードームはそのままにしようと思うので、基板に張り付いたままにしました。
この写真にあるキー1つ1つの部分にある黒い部品、これを取り外して静音リングを取り付けます。
静音リングの取り付け
今回頂いた静音リングはこの3つです。
deskey.ioで販売されているものです。
この#の後の数字は静音リングの厚さで、0.5mmや0.7mmと言う意味です。
公式のType-Sはストロークが3.8mmなので、0.2mmの静音リングが取り付けられていると仮定すると、0.5mmのリングでType-Sよりもストロークが0.3mmほど浅くなることが予想されます。
もし0.7mmを取り付けたら、Type-Sから0.5mmも浅くなるということが考えられます。
これは正直迷いました。迷いに迷った結果、とりあえず今回は、0.5mmを試してみることにしました。
こんな感じに、軸の部品に静音リングを取り付けていきます。
全てのキーの軸に取り付けるので単純作業の繰り返しです。キーの数が少ないHHKBだからこそやり遂げられる作業でした。
0.5mmの静音リングも、今回いただいたものでは2種類あります。フォーム素材とシリコン素材です。
これはとりあえず比べてみないとと思ったので、場所を変えて取り付けてみました。
それを比較してみたのがこちらです。
下から順番に打ってしまっていますが、上からシリコン、フォーム、ノーマルです。
Originally tweeted by 魚住惇⌨️『教師のiPad仕事術』 (@jun3010me) on 2022/1/23 Sunday.
もうね、キーが上に上がり切った時の音が、全然違います。
打ち比べてみて思ったのは、自分の場合はシリコン製のリングの方が好みだということでした。
ただし今回いただいた静音リングでシリコン製のリングは全部で40個です。HHKB全てのキーに取り付けるとなると、足りませんでした。
なので数字の段と左右の外側のキーをフォーム素材のリングにして、比較的入力頻度が高いアルファベットや小指の記号ゾーンをシリコン素材のリングの場所にしました。
作業の様子です。最初は「うへー、これ全てのキーにやるのかよー」って思っていたんですが、5個目あたりから段々と作業が楽しくなってきました。
打鍵音がかなり改善された
Originally tweeted by 魚住惇⌨️『教師のiPad仕事術』 (@jun3010me) on 2022/1/23 Sunday.
静音リングを装着する前と比べると、かなり改善されました。打っていて楽しい。
もしもキーを押した時の音を静音化したいなら、ボディとキートップの間に薄いゴムが必要なんでしょうけど、今回の静音リングの取り付けだけで、かなり音が改善されました。
これなら、Pro2もまた使ってみようかなという気になれます。
サポート部品をオープンにすると新しい世界が見えるかも
ラバードームを交換した頃から思っていたことですが、HHKBって本当に製品寿命が長いです。
今回写真で登場した、2008年に購入したHHKBPro2が未だに動きます。ラバードームはゴム製なのでどうしても劣化しますが、それ以外の部品、スプリングや基板などはまだまだ現役です。
メーカーとして一定のクォリティを担保した製品を作り続けるというのも、これまで通りやっていただいた上で、カスタマイズ性を高めても良いのではないかと考えるようになりました。これまでもこうして自己責任でやってくださいというのもまぁ良いかもしれませんが、自分で部品を海外から取り寄せるのもちょっと手間です。
例えばノートパソコンで言う、ThinkPadみたいな存在にHHKBがなれたら、自作キーボードと既製品のキーボードの間に位置するような存在になれるのではないかと思うのです。静電容量無接点の寿命の高さと、HHKB配列、ここにカスタマイズが加わると、更に寿命が伸ばせるんじゃないかと思います。
あとPro2を使っていて思い出しました。これ、リマップできないモデルでした。リマップ済みHYBRIDを使っていたら、純正配列だとちょっと辛いです。QMK基板も購入したいところですが、HYBRIDをメインとして使っているのに、Pro2にこれ以上お金をかけるのもなぁと、今迷っています。
話がそれましたが、こうして手入れができると言うのも、HHKBだからかなと思っています。
Cherry軸が使えるキーボードの方がキースイッチそのものが交換できて高寿命なんじゃないかという意見ももちろんありますが、僕はこの静電容量無接点の反応と、ラバードームで実現されるタクタイル感の方が好みです。これが再現できるといいんですけどね。自作キーボードでも。今のところ、そういう軸には出会えていません。
だからこそ、HHKBを分解して自分で部品を交換して、ずっと使い続けていくことが、サスティナブルだなぁと思うのでした。メンテナンスをして、ずっと使っていける。そんな相棒です。
これあれだな。お高い時計と一緒で、オーバーホールサービスとかがあっても良いなと思いました。それか、メーカー純正の内部部品だけで販売するとか。
夢が膨らみました。そんな未来がやってくると嬉しいです。
そうそう最後に、deskeyの静音リングは、同じHHKBエバンジェリスト仲間である石田太志さんのブログにも書かれています。この記事も大変参考になりました。
カスタマイズを行う前提なら、Type-Sを購入するのではなく、ただのHYBRIDを買うのも、選択肢としてありだなと思う今日この頃でした。
改めて、静音リングを送ってくださったTeo@Pazz_Teoさん、ありがとうございました。