2020年度採用のための試験、つまり来年度(今年)に行われる愛知県公立学校教員採用試験の、高校・情報の受験資格が変更されました。

情報のみで受験可能に

これまで、愛知県の教員採用試験を高校・情報で受験するためには、**「高等学校教諭情報の普通免許状の他に、高等学校教諭の他教科の普通免許状を所有し、又は取得見込みであること。」**という条件を満たす必要がありました。つまり、愛知県の公立高校で情報の教員として働くために、教員採用試験を受ける際は、高等学校一種・情報に加えて、他の教科の教員免許が必要だったんです。

それが今回、「高等学校教諭「情報」の受験資格を、**「高等学校教諭・情報の免許状を所有し、又は取得見込みであること」に変更する。」**と愛知県のサイトに掲載されました。文言を比較すると、「他に、高等学校教諭の他教科の普通免許状を所有し、」が削除されていることから、情報の免許単独で教員採用試験が受験できるようになったと判断できます。

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情報科専任教員の増加が目的か

2016年の記事ですが、毎日新聞で、情報科の専任教員が少ないことを問題視する内容が書かれていました。

高校必修教科:「情報科」専任教員は2割 地域で格差 | 毎日新聞

学校によっては、未だに通知表が手書きだったり、5段階評定が数字のハンコでないとダメという意味不明なところがある中、校務の情報化も急務であり、情報教育にも力を入れなければならないことが、数年前から話題でした。

教科「情報」は無くなると言われていた

平成15年度から高等学校で必履修科目として追加された「情報」という教科ですが、今から12年ほど前は、もうこの教科は無くなるんじゃないかと言われていました。

その時僕はまだ大学生でしたが、私立高校の教員の方と話す機会があり、こう言われました。

「学校で、蛇口のひねり方の授業ってやらんでしょ?、つまり情報もそうなると僕は思うんだよね。パソコンが家庭に1台あるのが当たり前になって、誰もが使うようになった時、もう情報っていう教科は必要なくなると思うよ。」

情報の教員を目指している自分にとってショックでしたが、どこか納得してしまう自分もいました。どうすれば教科「情報」が存続していくのか、考えれば考えるほど不安でした。

大学入学共通テストで「情報」出題が検討されている

時代は変わりました。高校生のほぼ全員がスマホを所持し、使いこなしています。タブレット端末が普及したことでパソコンの販売台数は減りましたが、パソコンに引けを取らない性能のコンピュータを、児童生徒は手のひらで使いこなすようになりました。大人達の方がついて行けないくらいです。

スマホなどのデジタル機器を正しく使いこなす能力が必要だと見た文科省は、次期学習指導要領からプログラミングやセキュリティの基礎などの内容を必履修科目「情報Ⅰ」に含めました。そして、2024年に実施される大学入学共通テストにも「情報」からの出題を検討している段階に入っています。

蛇口に例えた情報不要論はもう過去です。科学的根拠に裏付けされた知識を用いて情報機器端末を使いこなすことが、今の時代の子ども達に求められるようになりました。

まとめ

僕が勤務している学園とは違い、愛知県の公立高校では、未だに非常勤講師のみで情報科を担当させている高校が多いと聞いたことがあります。愛知県の今回の改定により、数学や理科と一緒についでに取得した情報ではなく、情報をメインで教えるために取得した方が採用試験を受ける可能性が出てきました。倍率も心配なところですが、それなりの人数を採用するための準備であるとも読み取れます。

情報が単独で受験できることは、同じ科目を担当する身としてかなりの衝撃です。愛知県が今後の情報教育に力を入れていくことが期待できます。

高等学校情報科教員採用の危機的現状

「2020年度愛知県公立学校教員採用選考試験日程等のお知らせ」