こんにちは、魚住惇です。知的生産に興味を持ってから、文章を書きまくっています。

友人である五藤隆介(通称:ごりゅご)さんより、知的生産についてのKindle本を2022年8月11日に発売されると聞きました。

今回はその中身を発売日前に読ませていただけたので、PRも兼ねて僕なりの視点から語ります。

書籍情報

まずは簡単に書籍情報から。

Amazonでは既に予約が始まっています。

価格は、980円とKindle Unlimited対象のセフルパブリッシング本としてはやや高めです。ただ、読んでみるとね、この価格は、個人的にはむしろ安いと感じました。

そしてこちらがAmazonのページにも紹介されている概要です。

書いて思考を整理する。デジタルノートを使ったこれからの時代の知識と整理の方法論。
Zettelkasten(ツェッテルカステン)、Evergreen notes(エバーグリーンノート)をベースにした、自分の考えをノートにまとめ、思考を整理する方法をまとめた一冊。
AIの登場に伴って求められるスキルが大きく変化することが予測される時代。そんな時代に必要なのは、時代の変化によって変わることがない「自分で考える力」を身に付けること。
「アトミック・シンキング」は、普遍的で汎用的な「自分で考える力」を育むための方法です。

ScrapboxやObsidianなどの、ツールを使っている方にはお馴染みの単語かもしれません。Zettelkastenとはドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが紙でやっていたカード法の名前です。日本では『知的生産の技術』の著者である梅棹忠夫先生もカード法を考案し実践されていました。

ここ数年の傾向で、それらのカード法をデジタルの強みを活かして、情報同士をリンクで繋ぐというツールが相次いで開発されています。

デジタルで知識を管理する。紙のノートでは手間がかかりすぎて現実的ではない、個人の知識管理システムを構築するということが、かつてのライフハック界隈の、特に文章を書くことを生業にされていらっしゃる方たちの中でのトレンドとなっています。(少なくとも魚住の観測範囲では)

本や論文などの文章を書いている人に例えると、昔、コンピュータがなかった頃は、文章は紙に書いていたわけです。内容の構成を考えたり、着想を得るためには、頭の中で考えたり、紙に書き出して考えていました。今でもその手法は、フリーライティングやマインドマップ、モーニングノートという名前で生き残り、実践されている方も多くいらっしゃいます。

問題はその書き出したあと。出てきた情報をどうするの?っていう話です。情報を処理することに関しては、人間よりもコンピュータの方が長けています。ならば、そのコンピュータの中に、自分の第二の脳(脳を拡張した先)を作ってみましょうよっていう話です。

本書はこの辺りの、如何にして第二の脳をコンピュータ上に構築していくのかというヒントが書かれています。

感想を少し

発売前にネタバレするわけにはいきませんので、ちょっとした私見を織り交ぜつつ、読んだ感想を綴っていこうと思います。

まず、まずね、**本文が骨太で肉厚。**Kindleだけの本でここまで長いの、そんなにないよねって思えるくらい、長い。

出てくる単語などは、僕も一応知的生産系には興味があるので、「あー、この話かー」と思いながら読み進めていました。

それでもね、内容がこれでもかって言うくらい、盛りだくさんなんですよ。

説明がかなり丁寧で、本当に知的生産などを一切知らない人が読んだとしても、ここまで説明してあるのなら読み進められるんじゃないかなと思えるほどの文章量でした。

つまりね、情報をアトミックにして管理し、つなげていって1冊できたことを、この本そのものが証明できている証なんですよ。これだけの内容、手書きじゃ絶対に無理。

そして、内容としてはObsidianの操作方法などはほとんど書かれておらず、知識の面でかなり抽象化されています。ただのObsidianの紹介本ではないっていうことに、この本の意味があるんですよ。

既に五藤隆介さんは、アトミックなノートを作りまくって、トピックノートで自分の趣味趣向を把握し、どんどん知識をまとめているわけです。その一つの結果がこの本。自分が考えた文章と、他から得た情報も明確に区別されていて、個人的には好感が持てる本でした。ここ数年の間、無駄に数だけ増えてきている胡散臭いインチキ本とは全然違います。

そういう意味で、980円は安いんじゃないかと思うほどです。僕だったら1580円とかにしちゃいそう。

この本そのものが、アトミック・シンキングの有用性を証明するとともに、既に関連する知識がまとめてある。大全本のように全てを網羅しているわけではありませんが、次につながる伏線のようなものも時折感じられました。今後の展開も楽しみです。

文章を書く人に読んでもらいたい本

これだけ骨太で、肉厚で、内容が濃くて面白い。だからこそ、疑問でした。

「この本は、どんな方に読んでもらいたいだろう」

『知的生産の技術』の著者である梅棹先生は、これからの時代、主婦だって情報整理が必要だろうにっていう感じの言葉を残していました。そういう意味で言えば、全ての人は自分の脳だけでなく、第二の脳を使うべきだと主張でき、全ての人が読むべきではとも考えられます。

しかし、タスク管理にしても、僕が普段やっているデイリーノートにしても、頭の中だけでやっている人がいるような状況で、それに対して1日の時間の何割かを割いています。僕自身はこの行動に意味があると実感しているから取り組んでいるんですけど、それだけ時間がかかる作業が毎日の生活に入り込んでくるとなると、ハードルが高いようにも思えます。

実際にアトミック・シンキングにたどり着くまでは毎日3〜4時間使っていたって本書にも書いてあるので、本書を参考にするにしても、同じ手法を試そうと思うと相当時間がかかります。

ということは逆に考えて、それだけ時間を使ってでも、文章を書きたいと考えている人。そんな人がターゲットなのかなとも思えてきました。

毎日の記録が好きで、記録の整理が好きで、文章も書けるようになりたい人。本書はそんな方におすすめだと思います。

そんな人いるんかいな?って思うかもしれませんが、少なくとも魚住惇には刺さりました。

近しいところで言うと、倉下忠憲さんとTak.さんが話しているPodcast、うちあわせCastを毎回聞いているリスナーさんには盛大に刺さると思います。

このPodcastが大好きでいつも楽しみにしてるの、俺だったわ。

あとは、ブックカタリストという五藤隆介さんと倉下忠憲さんが話しているPodcastを毎回聞いているリスナーさんとか。

このPodcastが大好きでいつも楽しみにしているのも、俺だったわ。

僕がブログで紹介せずとも、既にこの2つのPodcastを聞いている方は、予約されているんだろうなぁ。

でも最後にリンクを貼っときます。PCを使って文章を書きたい人は、購入してみてください。