こんにちは。魚住惇です。
2023年6月に『逆境に負けない 学校DX物語』を出版することになりました。
こだわりらいふnewsletterでは、原稿を書いているときに進捗もちょくちょく書いていましたが、こちらのブログにはあまり新刊の情報は書いてなかったなと思ったので書こうと思います。
2023年5月下旬に、やっと僕の手元に納品された本が送られてきました。
これを機に、どんな想いで本書を書いたのか、ここでも少しだけ語りたいと思います。
『学校DX物語』は変わろうとしない学校を後世に伝える本
文科省がGIGAスクール構想を発表した2019年。新型コロナウイルスで休校になった2020年。全国の学校でICT導入が進む中、何も変わらない学校があった―。
とある県立高校で情報科教師として働く著者は、生徒のために立ち上がり、様々な手段で校内のDX化を試みるものの、これまでやってきたことを続けることが正しいとされる職場では、新しい考え方を示せば示すほど風あたりが強くなり、意見はますます通りにくくなった。
それでも、何度も立ち上がり、叩かれてもあきらめず、職場に理解者を増やし、起承転結を繰り返しながらDXを一歩ずつ進めることができた。そんな約3年間の記録をまとめた1冊。
学校のDX化を進めたい人にはもちろん、学校で新しい取り組みをしたい教師には、改革を進めるためのヒントがぎっしり詰まっている。Amazon販売ページより引用(https://amzn.to/43lrIMc)
本書で語っていることは、僕が『教師のiPad仕事術』を出版する前の2019年から、この文章を書いている2023年までの、勤務校のDX事情のまとめです。
ICTの活用を全否定されて、独断専行して、ますます校内での立場が悪くなったり、ICTの活用を罪深いものにしてしまった。
そこから仲間と出会い、DXを少しずつ進めていく。
ブログも書いてて、著者で、なんかよくわからないけど凄そうに見える。一見そんな印象を皆さんに与えているかもしれない僕ですが、その裏側の、正直な部分を1冊に詰め込みました。
正直に言うとね、この本に書いた物語なんて、存在しない世の中の方が、きっと良い世の中なんですよ。
でも、この本の序章を読んでくださった方のご感想をTwitterで拝見した限りでは、僕と同じ境遇の先生方が他校にもいらっしゃるようでした。
共感してくださった先生方がいるという嬉しさと、自分と似た境遇の方が他にもいらっしゃるのかという複雑な気分になりました。
ICTの活用やDXを推進しようとして、猛批判を浴びる。そんなことにならなかった世界線があるとしたら、どれだけ素晴らしいか。
大切なことは物語から学ぶ
人類はこれまで、神話や昔話を伝承してきたことで、その物語を通して大切なことを学んできました。
例えば、「アリババと四十人の盗賊」というお話からは、パスワードの重要性が学べます。
<アリババと四十人の盗賊 千夜一夜物語 <福娘童話集 きょうの世界昔話>
よく聞く「ひらけごま!」っていうやつですね。このお話は、物語を通してパスワードの重要性を後世に伝えたわけです。
情報Ⅰの教科書にもパスワードの重要性についてわかりやすくまとめられているわけですが、「学校の教科書に書いてあること=単語を覚えるもの」みたいに捉えている子どもたちにとって、とにかく単語を覚えるということだけに集中してしまうと、実生活への応用が効きません。
パスワードは重要だということだけを覚えておいて、結局は苗字と生年月日を組み合わせたような文字列を設定してしまうのです。
そんなことを防ぐための1つの方法として、読み手の心に残したいものを伝える手段としての物語があるんじゃないかと思います。
本書も同じです。僕がこの3年間にやってきたことを全部公開することで、自分と同じ過ちを繰り返す先生方を、少しでも減らしたいと思いました。
仕事術とか、生産性向上とかに関心がある先生がやっている行動は、自分1人だけの範囲での工夫だったら何だってやって良いんですよ。
でもDXとなると、業務全体を大きく変革することになり、少なからず反発も出てきます。そんなとき、反対派の含めて多くの先生方からのご理解を得られなければ、話を進めることができません。
本書は、どうしたらICTが苦手な先生方にもDXをわかっていただくか。どうやったら学校全体の変革を促すことができるかを、物語で伝えている本です。
物語なので、きっとiPad本よりも読みやすくなったと思います。あまりDXに興味がない方も、読み物の一つとして、お楽しみいただけたら幸いです。
ちなみに、学事出版公式サイトの販売ページやAmazonで、まえがきから目次まで公開されていますので、購入を迷っている方は、まずはそちらからお読みください。