2019年2月の文化審議会著作権分科会報告書がネット中を騒がせました。僕自身がこれについて現状どう解釈すれば良いのか知りたかったので、今回調べた内容をここにまとめました。

スクリーンショット違法化と国民を煽るメディア

2月13日の朝日新聞で、「著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定」という記事が出ました。まずこれが発端です。

記者さんの書いた文章にもよるんですが、これが拡散の発端となって、「スクショもだめになったぞー!」的な記事がネットに出回りました。

その中で一番僕が良いなと思ったのは、ITmediaNEWSの記事でした。

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文化審議会著作権分科会報告書とは何か

そもそもこの「文化審議会著作権分科会報告書」って何かっていう話です。

まず、日本に「文化庁」という日本の文部科学省の外局があります。日本の文化復興や国際文化交流の復興を図ることと、宗教に関する行政事務をやっているところです。

その文化庁で行われている「文化審議会」という議会の中に分科会があって、その中にあるのが「著作権分科会」です。

この「文化審議会著作権分科会」では、著作者の権利や著作物の保護・利用についての調査や審議を行っています。その結果出来上がるのが、著作権法です。

つまり、著作権法を作っている文化審議会著作権分科会が報告書を提出したということは、次の著作権法はこんな感じに変えますよ。という指針を示したということなんです。

2019年2月の報告書

報告書に目を通すと分かる話ですが、まだ著作権法の改正案が出ているわけでもなく、この件について文化審議会著作権分科会で議論しましたよ。という報告書です。

単純に「今度からはイラストや写真を私的複製する行為も違法ダウンロードだ!」と言っている訳でもなく、「違法ダウンロードの対象を拡大する方向として考えていく。しかし、国民の生活に大きく関わる話なので、まだまだ議論すべきことが沢山あることがわかった。」と報告しているんです。

文化審議会著作権分科会報告書 2019年2月

研究者&弁護士87人が緊急声明

報告書が提出された後に、大学の研究者や弁護士ら87人が声明を発表しました。

「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」に関する緊急声明

違法ダウンロードについての法律を作る際に尽力された津田大介さんがこの87人に含まれています。

津田大介さんはIT・音楽ジャーナリストで、2010年に施行されたのダウンロード違法化についての法整備にも大きく関わった人物です。

津田さんは、2007年には文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会の委員を務めており、当時は私的録音録画補償金が含まれるMDプレイヤーから、補償金が含まれないiPodなどのデジタル音楽プレイヤーに時代が変わる。どうしよう!という議論に参加されていました。

これが後々になって、ダウンロード違法化の法律に繋がっていききます。

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津田さんは、自分以外の委員のメンバー全員がダウンロード違法化を推奨する立場であったため、私的録音録画小委員会の委員を努めながら、反対意見を表明する団体「MIAU」を設立しています。

津田大介氏に聞く、“ダウンロード違法化”のここが問題

実際に違法ダウンロードの法律が施行されたのは2010年。iPhone5が9月に発売された年で、LTEサービスが始まった年でもありました。そこから9年経ちました(記事執筆時)。漫画村騒動が起こったり、中国にサーバが置かれているとされている無料音楽アプリが登場したりと、違法ながらも有料著作物を無料で楽しむことが出来てしまう機会が増えました。

この現状を考えると、著作権法も次の時代に対応した内容にすべきです。ただ、津田さんは今回の報告書の件にも異を唱えるために、この緊急声明に賛同したのです。

福井健作さんは声明に参加せず

しかし、僕が個人的に気になっているのは、著作権について学ぶ際に大変参考になった、著作権に詳しい弁護士の福井健策さんが、今回の緊急声明のメンバーには含まれていないことです。

福井健策さんは、弁護士として活動する傍らで、多数の著作権に関する本を出版されている人です。2010年のダウンロード違法化についてもインタビューに答えています。

ダウンロード違法化、どこまで合法? 福井弁護士に聞く

個人的に気に入っているのは、著作権の基本を学ぶための本、『18歳の著作権入門』です。まじで分かりやすい。

また、NHKのクローズアップ現代の2013年2月19日放送の「パロディは文化?それとも違法?」にも出演されています。

ちなみに福井健策さんが慶應義塾大学で講演された映像がYoutubeにあるので、著作権の基本を勉強してみたい方のためになると思います。

ただ、今回の声明メンバーには含まれていないものの、報告書に含まれる内容についてのパブリックコメントには名前がありましたので、違法ダウンロードの対象拡大についての意見を文化審議会著作権分科会に寄せたことは確認できました。

国民はこれからどう過ごすべきか

このブログにも通ずる話なのでアレなんですが、こうした個人・大手に関わらず、メディアが論じているものと、実際の議事録のPDFなどを見比べることを強くおすすめします。

僕自身も、このブログを通して自分の意見を述べているだけ。実際にスクリーンショットが違法化されたわけでもありませんし、今回の報告書にもスクリーンショットについての議論があったことはわかっても、スクリーンショットもダメにするぞ!みたいには明言されていません。今後に注目です。

文化審議会著作権分科会報告書 2019年2月

「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」に関する緊急声明

あとそれと、津田大介さんと福井健策さんがTBSのラジオで今回の件について語っています。この件について深く知りたい方は必聴です。

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