ここ数週間の間、学校で色々と思うところが出てきて、少し更新を投げ出していました。

進まないICT機器活用、未だに導入に苦労するオンライン教育。

このままでは日本の教育に未来はあるのか。そんな不安と焦りが入り交じる中で進む少子化。高等学校は義務教育ではないので、形式上であっても生徒は自らの意思で受験してきます。魅力的に見えない高校は倍率が下がり、生徒の質に影響が出ます。

これからの教育は、学校は、どういう姿であるべきなのか。

そんなことを考えながら、少し前にAmazonで購入した『ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために (ちくま新書) 』っていう本を読んでみました。

これが、学校運営にもブログ運営にもかなり役立つ内容だったので、ざっくり紹介します。

今、ファンでいてくれる人を大事にしよう

そもそもこの本は、マーケティングの本です。

売りたい商品があったとして、いくら感動するCMを作ったとしても、ちょっとバズって話題になっただけですぐに忘れられてしまう。

そんな昨今の情報過多の時代に、どうやって新しく商品を買ってくれる新規の顧客を獲得するのか

そんな問題を解決しようというお話からこの本は始まりますが、まず紹介されていたのは、新規顧客を獲得するよりも、今その商品のファンになってくださっている方々を大事にしましょうよという考え方でした。

今ファンでいてくれるということは、既にその商品のことを気に入ってくれて、愛着をもってくれているということ。その人達を大事にすることで、ファンが喜ぶような事業展開ができ、結果としてそのファン達が、その商品の良さを広めてくれる。するとその商品は良いものなので、満足度の高い口コミが自ずと広がって、新しい顧客を獲得することに繋がる。という流れでした。

ファンの支持を強くする3ヵ条

特にこの本で紹介されていた、「ファンの支持を強くする3ヵ条」というものが、大体何にでも応用できそうな、それでいて的を射た内容だったので紹介します。

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  ファンの支持を強くする3ヵ条
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  • その価値自体をアップさせる(共感)
  • その価値を他で代えがたいものにする(愛着)
  • その価値の提供元の価値・評判をアップさせること(信頼)

ドスンと心に来ましたね。この言葉。僕からしてみたら、もう何にでも応用できそうじゃんと思えるほどの言葉に見えました。

そして、最近、そういうところを怠っていたなと反省することにも繋がりました。

ブログに応用するならこの3ヵ条

もしこの3ヵ条をブログ版として作るなら、こんな感じだと思います。

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  ファンの支持を強くする3ヵ条
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  • 読んだ方の役に立つ記事を沢山書く
  • 他のブログにない独自の視点を作る
  • 記事を書いた本人の評判をアップさせる

ブログのPVを増やすことを考えるなら、まずはSEO対策をすること。特に、タイトルのキーワードと、直帰率を下げること。もっと言うと、内部リンクを踏んでもらって他のページをぐるぐる見てもらうこと。

それも確かに重要なことですが、そんな中でこのブログで最近バズった記事はこれでした。

このタイトルとこの内容、特にタイトルなんてSEO対策なんか全然考えずに付けました。内容なんてもっと何も考えていなくて、ただ単にHHKBが好きだ!という内容をどんどん掘り下げただけで書いたものでした。

この記事を投稿しただけでその日のPV数が倍増しました。ほんとブログって、何が起こるのかわからんものです。

1つ言えるのは、書いた内容がただの商品紹介ではなくて、エモさを際立たせたこと。HHKBが大好きだっていう気持ちを原動力にしたら勝手にそうなっていました。これはもう、愛です。その域に達した感が、文章に反映されたのではないかと思います。

学校運営に応用するならこの3ヵ条

さて僕の本業は教師なので、中学生からみた高校を例にして、如何に質の高い生徒に受験してもらうのかを考えた際の3ヵ条も考えてみます。

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  ファンの支持を強くする3ヵ条
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  • 今の生徒から見て「良い学校」にする
  • 他の学校にはない教育理念・学校行事がある
  • 先生達の評判も良い

コロナ禍に少子化が重なり、最近は如何に中学3年生に高校を知ってもらうか、魅力に思ってもらえるかという2つの課題を各高校が抱えています。

しかしこのファンベースという考え方でいくならば、中学3年生に対して何かしらのアピールをするのではなく、まずは目の前の生徒の満足度を上げることが先決であることがわかります。

ターゲットとしているのは在校生の後輩にあたる子ども達です。今はSNSの時代なので、高校に入学した後でもLINEでやり取りしたり、タイムライン上で関わっていることでしょう。

それを考えると、中学生に直接アピールするよりも、実際に進学した先輩が「この高校に入学して本当に良かった。良い高校だよ。うちを受験しなよ。」って後輩に言ってくれる方がめちゃくちゃ効果があるわけです。在校生の声に耳を傾けて、一方的に決めつけることなく対話しながら学校生活を営んでいけば、満足度が上がります。

そして他校ではできないような経験をさせること。その体験のきっかけ作りが、「この高校に進学したから、貴重な経験が出来たんだ」という満足感に繋がります。進路実現でも学校行事でも何でも良いですが、生徒にそう思わせるものが何かあれば、「この高校で良かった」と思って卒業してくれるわけです。

更には、先生達の評判。これもかなり決め手となります。やたらと大声で怒鳴ってくる先生がいるとなれば、悪評として広まるでしょう。校則に対して説明を求められた時に「そういうルールだから」では誰ひとりとして納得しません。誠実さをもって丁寧に、真摯に対応すること。子ども達や保護者の声を傾聴すること。分かりやすい授業をすること。これらが先生達の評判を左右するのではないでしょうか。

この3つの要素の、どれかが欠けてしまうと、「味は確かなんだけど、度が過ぎた対応の悪さで二度と行きたくないラーメン屋」のような状態になってしまうわけです。それではファンが増えるどころか、常連も生まれません。

経済の本ってめちゃくちゃ学校に応用できる

学校の先生って、どんな本を読むんだろか。

ふと疑問に思うことがあります。

僕はどちらかというと所謂普通の先生っぽくないっていう自覚があるので、教員の中でも珍しい分類に入ると思います。学生時代から、特に情報整理術系の本や、知的生産系の本を読むのが好きでした。最近だとお金の話やらマーケティングやらの本に興味があるので好き好んで読んでいます。普通の先生だったら、学級経営の本とかを読むんでしょうか。

こういう視点からの知識って、学校という環境にも活かせるんじゃないかと本気で思っています。他の分野の知識を抽象化して、教育業界に活かすことで、新しい考え方を学校現場に落とし込める。僕のこれからの役割は、これだな。とも思うわけです。

是非この本が気になった方は、「自分の職場だったらどうやって活かせるのか」という視点を持ちながら読んでみることをおすすめします。