こう、HHKBの無刻印モデルばかり使っているとね、職場でよく言われる。

**「じゅん先生、そのキーボード、なんにも書いてないじゃないですか!なんで書いてないんですか?」**って。

新しく知り合った人が、職員室にある僕の机を見る度に、必ずビックリする。タイピングの速度と、何も刻印がされていないキーボードに。いつもなら、「このデザインの方がスッキリしていて、キレイなんですよ」とかわけわからんことを言っている自分がいる

今回は、何故自分が無刻印モデルを愛しているのかについて語る。

配列を覚えていなくてもキーボードは使えてしまう

正直な話、タッチタイピング(全盲の方に配慮して、10年前からブラインドタッチとは呼ばれなくなった)は出来なくても、キーボードは誰もが使える。高校生だって、物理的なキーボードは使えなくても、iPhoneなどでパスワードを入力する際にはQWERTY配列のソフトウェアキーボードが出てくるため、見たことはあるらしいので、刻印を見ながらなら、打とうと思えば打てる。

しかし、ホームポジションを守りながら入力をしていくのが、現状の配列なら最も速く入力でき、効率が良いのだ。キー配列を身体で覚えていないと、「あのキーはどこだっけ」とキーボードの刻印を一瞬でも見なければならない。

その作業自体がタイムラグとなるのだ。コンマ数秒かもしれないが、合計として積み重なっていくと、結構な時間のロスに繋がる。これでは万年筆を紙に走らせるようにメモを取る感じに入力作業を行うことはできない。心地よく入力するためには、ホームポジションを正確に守ったタッチタイピングが必須なのだ。

それができる証が、無刻印キーボードを使っている。ということになる。

かな無刻印<HHKB黒色<無刻印

HHKBは、日本語配列であっても「かな」無刻印だ。今や、かな入力派は少数派で、大抵の人はローマ字入力で日本語を入力するので、かな無刻印の方が使うキーのみが刻印されていてスッキリした印象を受ける。

それにもう一段階上に存在する無刻印が、黒色のかな無刻印だ。黒いHHKBは刻印も黒なのだ。多少の黒色の差はあるものの、かなり見づらい印象だ。これは写真ではまだ見えると思ってしまうが、実際に黒いキーボードに黒い刻印というものをリアルに見てみると、本当に見えづらいものだ。僕は無刻印しか買わないけど

しかし、しかしだ。黒かな無刻印でも良いといえば良いが、僕としてはプロフェッショナルの証である、本当の無刻印を使っていきたい。

アニメに登場するキーボードは無刻印

ここで、アニメ作品に出てくるキーボードを見て欲しい。普通の人は、あまりそこには注目しないかもしれないが、僕はキーボードにどうしても目が行ってしまうのだ。

この写真は、勇者王ガオガイガーに登場するロボット「ガオガイガー」がファイナルフュージョンという名前の合体作業を行う前のシーンである。大河長官より承認が下り、オペレーターである卯都木命隊員がこれから合体プログラムを実行するコマンドの入力を始めるのだ。

この画像は、長官による承認の後、命隊員が「了解!」と発言した瞬間である。この画像のキーボード部分に注目してほしい。

おわかりいただけるだろうか。見事な無刻印である。これはもう、ガオガイガー好きの1人として、命隊員のことを想うなら、**当然使うキーボードもお揃いにすべきである。**この文章を書いていて、自分でも相当気持ち悪いって正直思う。

アニメ作品においては余程クォリティが高くない限り、キーボードの刻印までは描かれないことが多い。従って、大抵のアニメに登場するキーボードは無刻印モデルとなる。

例外として挙げられるのは、この2作品だ。1つ目は、マブラヴオルタネイティブのスピンオフ作品、『シュヴァルツェスマーケン』だ。

非常に残念なことに、作品の舞台はドイツであるはずが、配列を見るとJIS配列である。

Wikipediaより拝借したドイツ語配列キーボード
Wikipediaより拝借したドイツ語配列キーボード

ドイツ語配列のキーボードも日本語配列と同様にEnterキーが大きいが、

シュヴァルツェスマーケン第2話より

よく見ると**「かな」が刻印されてる臭い**。

2つ目は伝説のアニメ、『BPSバトルプログラマーシラセ』である。

BPSバトルプログラマーシラセ第2話より
BPSバトルプログラマーシラセ第2話より

非常に心躍る作品だった。それに、ご覧の通り登場したキーボードはHHKBである。

この画像に登場したのは**まさしく初代HHKB、型番「PD-KB02」**である。

PFU Happy Hacking Keyboard (PD-KB02)

ケーブルが断線し易い巻かれ方をしているのは少々気にはなるが、このアニメの主人公シラセは、この後6台のHHKBを1枚の基板に繋いで、使いこなしていくのである。

打てるから無刻印?無刻印だから打てる?

無刻印モデルを使ってタイピングしていると、それがHHKBだということが通じる素晴らしい人たちから「よく無刻印モデルを購入しましたね」というように声をかけられる。僕は高校時代にタッチタイピングに憧れ、タイピングを練習してきた口なので、タイピングにはそこそこ自信がある。それを証明したいという想いが無刻印に表れているとも言える。

しかし、HHKBはキーの数がフルサイズと比べて非常に少なく、ファンクションキーとの併用によって全てのキー入力を再現できるように設計されている。無刻印となるとそれらのキーも覚えなければならない。そういった理由から、無刻印モデルを購入することを遠慮しがちになる人は意外と多い。ここに書くのもあれだが、大学時代にご縁があった方は、僕と同じHHKB+Kensingtonのトラックボールという組み合わせを使いこなしていた。しかし、その方もHHKBは無刻印ではなく黒モデルを選んでいた。僕が使っている無刻印モデルを見て刺激を受け、購入には至ったが、無刻印モデルは自分には無理そうだと感じたそうだ。

だからこそ、敢えて言おう。僕はタッチタイピングができるから無刻印モデルを選んだのではない。無刻印モデルを選んだからこそ、タッチタイピングするしかないのだ。特にFnキーとの組み合わせて入力するキーは、無刻印モデルを購入してから覚えたのが多い。以前はLite2を使っていたからカーソルキーも覚え直したし、刻印があるキーボードを使っていた頃は、それこそアルファベット以外の配置に自信がないキーは、打つときにはキーを一瞬見ていたものだ。無刻印モデルを購入することで、ある意味自分を追い込んだのだ。その結果、霧が晴れた、素晴らしい景色を見ているような気分でいることができている。

僕にとってキーボードは、無刻印であることが前提だ。現在はHHKB以外にあり得ない。2019年、今年に大きな仕事をやり遂げるためにも、一緒にいてくれ相棒!