タイトルにある「発想は、思った時が勝負だ」は、日本のコンピュータ開発のパイオニアとも言われている池田俊雄さんの言葉です。
今回は、池田俊雄さんの名言から、「アイディアを発想する」ことについて考えていきます。
池田俊雄さんの話
池田俊雄さんは、1946年に富士通信機製造株式会社(今の富士通)に入社し、日本で初めてリレー式計算機を完成させた人です。コンピュータの回路を紙に手で書き、設計した人物です。しかし、コンピュータ設計の仕事に就く前は始業より2時間遅刻することがざらにあり、問題社員として見られていました。幼い頃から数学が得意で、後にコンピュータ開発に従事することになります。しかし、コンピュータの設計をする際は会社に出社せず、温泉三昧だったり、とんかつ屋さんに入り浸ってばかりいました。ある日職場に来ない池田さんを心配した社員が彼の部屋を訪ねたら、アイディア段階のコンピュータの回路図が散乱していました。
池田さんはコンピュータの設計をしている時期に、会社帰りの駅のホームで、ふとアイディアが思い浮かびました。すると後輩が隣に座っている横で、急に設計図を取り出し、そのアイディアを書き込んでいきました。職場でもなく、勤務時間でもないのに仕事を始めた池田さんに、後輩が驚いていると、**「発想は、思った時が勝負だ。心から、あれはどうなっているんだろうと、思った時に(回路図)を見なきゃだめだ」**と話しました。
この話は、プロジェクトX挑戦者たち 20話 国産コンピュータ ゼロからの大逆転 ~日本技術界 伝説のドラマ~
の一部を文章化しました。
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白紙のエディタを見るだけではアイディアは出てこない
最近、ブログを書こうと思っていても、なかなか書けないことが多いなと、思うようになりました。原因を考えると、「時間がないから」という言葉が出てきます。「時間がないから」ねぇ。いかにも原因らしいような言葉で、最も信用できない言葉です。
教師の仕事は知的生産の塊のようなものです。授業で説明する内容や、朝のSTで子供たちに話す内容など、頭で考えることが多いのです。学級通信というプリントを作ることも、案外「ブログを書く」と似たようなものです。これらの仕事を毎日のようにやるもんだから、本当に教師の仕事は頭を使います。頭の中からアイディアや文章をひねり出します。
アイディアを出そう。文章を書こう。そう思った時、あなたはどうしますか?UlyssesやWordの真っ白な画面を見つめて「うーん」って唸りますか?それで文章は出てきますか?僕がブログを書く時、エディタの前でうんうん唸ってみても、文章は書けませんでした。
ブログを書くというプロセス
ここ最近、ブログを更新するというタスクを朝に回してみたら、以外とうまくいったなと実感するようになりました。
まずはこの方法が上手くいった時の話を少しします。
最近は、Scrapboxに思ったことや考えたこと、ふとした瞬間に出たアイディアなどを溜めています。
授業で話すネタから、1週間後にやらなければならないタスクも。その時その瞬間に考えたことも全てです。僕はScrapbox上にデイリーページを作って、PCでは基本そこを開いています。その日に思いついたアイディアなどは全てその日のページに書きます。内容を元にブログを書こうと思いながら書いたものもあります。
帰宅後にブログを書こう。そう思いながら仕事をしていましたが、帰宅して夕食を食べ終えた後にブログを書こうとしても、その日の疲れでヘトヘトになっているので、全然書く気になれませんでした。
実際にブログを更新できたのは、翌朝でした。前日にScrapboxに書き起こした文章を、違和感の無いようにつなげたものを公開しました。以前も朝活としてブログを書こうって思ってはいましたが、朝早く起きるだけでは文章を書く気にもなれず、ただ嫁が起きてくるまでひとりの時間を過ごすだけでした。まとまった時間をただ確保するのではなく、それぞれの作業を良いタイミングで行うと良いということがわかりました。
発想と構成の時間を分ける
何故ブログ更新が、前回うまくいったのかというと、
僕自身が文章を書くという作業を、朝起きてすぐは向いていなかったんです。文章は書ける時に書けて、書きたい時に書けるわけじゃない。
ブログは朝書こう。朝活だ。と思っていても、それがうまく書けずに時間が過ぎていきました。つまり、朝に文章を書くんじゃなくて、朝は組み替えるだけの方が向いているかもしれない。ということがわかったんです。
発想した瞬間にアイディアを文章化する
じゃあ、朝組み替えるための文章のパーツは、いつ書くのか。それは思った瞬間です。
思いついた瞬間に、Scrapboxに文章でメモる。これはアウトライナーでもいいかもしれないけど、メモりたい時にすぐメモが取れる環境が必要です。
思いついたことをひたすら文章で書いていきます。書いた文章はそのままじゃ使えないから、とにかく書いて溜めておきます。多分、いつ使えるのかもわからない内容もあります。それでも書きます。
後々に、「この順番に組もう」と思ったら、その順番に文章を組み替えて、順番を考えつつ構成していきます。
するとこの文章も含めてですが、長い文章が上手いこと繋がるもんなんですね。
記事を書くなら、Ulyssesで書く作業と、内容を考える作業を、一緒にしない方がいい。
内容の肉付けも、事前にやっておいた方が、翌朝がすごく楽でした。
空のエディタからは何も出てこない
エディタの前で「うーん」ってうなっていても、文章は何も出てきません。これはブログにしろレポートにしろ論文にしろ同じことです。頭の中もしくはノートなどに文章の構想があって、始めてそれを文字に起こすことができる。
文章を書くということは、書く内容が既にあって、それをキーボードや筆記具を使って再生する作業だと僕は考えています。
材料なしにすらすらと文章が書けると言う人は、見える形での材料があるわけではなく、頭の中に既にある程度考え抜かれた構想があり、それをアウトプットしているはずです。
おわりに
今回は、朝にブログの文章パーツが既にあるなら、それを元に構成して更新までもっていけることがわかりました。
夜には1日の振り返りをやりたい。どんなことがあったのか、何を考えたのか。
そこからブログに書けそうな内容を、あらかじめ探しておきたいと思うようになりました。
その日に考えた文章を、翌朝のブログ更新作業に使うっていう感じ。
つまりは、文章の構成を考えたり組み替える作業を朝に行い、文章を実際に書いたりするのは随時発想した時に行うっていう感じです。
池田俊雄さんみたいに、いつでも発想したアイディアを書き留めるための環境作りが大事なんですね。
ちなみに、池田さんが手がけた富士通のコンピュータ「FACOM」を後に共同開発したユーザック電子工業は、
パナソニック・FACOM・ユーザック電子工業(ウノケ電子工業)の頭文字からPFUという会社となり、ScanSnapやHappyHackingKeyboardという商品を世に送り出したり、Linux事業を展開しています。
池田俊雄さんの魂がPFU社にも宿っているのかと思うと、感慨深いものです。