教育は「洗脳」かぁ、大胆なこと言いますなぁ。プロフィールにも書いた通り、僕は教員です。この仕事をしていると、当然ながら子供たちからよく質問を受けます。
先生、この勉強していて意味あるんですか?
実際役に立つかどうかではなく、将来の選択肢の幅を広げる為にやるんだよ!
(今の学校や受験のシステムじゃあこう説明するしかないんだよなぁ。)
んー、我ながら上手くかわした表現。
割と多くの教師は、将来の夢を叶える為にはその進路に近い学部のある大学に入学する必要があり、入学する為には受験戦争で勝ち抜く必要があり、その受験に必要な科目の勉強をして、入試問題を解く必要がある。と考えている節があります。そして、それに対応する授業に追われる主要教科の先生方は補習の予習に大忙しです。
進路相談の材料となるのは、成績や偏差値です。大学入試に対応できるほどの偏差値の生徒には、当然のように大学進学を勧めます。美容系の専門学校に進学したい!と言われた日にゃ「そんな!あなたの学力でもったいない!」とか平気で言う人もいます。
やりたいことがあって、それを志したい人がいるなら、素直に応援したいなぁ
僕はこんな感じに思うんですが、成績によっては「この生徒の気が変わった時のために、進学補習を取らせておこう!」という方針で指導される方もいます。つまり、「備えあれば憂いなし」という考え方で将来への選択肢を増やしておくことが、どの子供に対しても有効で、ある程度のレベルで学力が止まれば、そのレベルで入れる場所に進学するというイメージです。
この考え方が個人的に納得いかんなぁと思っていたところでこの本が目に留まり、ちょうどkindle unlimitedの対象だったので読んでみることにしました。
すべての教育は「洗脳」である
堀江さんは本の中で、教育は洗脳だと言い切り、次の様に述べています。
軍国 時代 に 基礎 が 築か れ た 教育 システム という のは、 人 を 鞭打ち、「 お前 は 半人前 だ。 早く 一人前 の 軍人 に なっ て、 戦える よう に なれ」 と けしかける もの でしか ない。
堀江 貴文. すべての教育は「洗脳」である~21世紀の脱・学校論~ (光文社新書) (Kindle の位置No.339-341). 光文社. Kindle 版.
つまり、教育勅語の頃からの教育についての考え方が、現代の企業の風潮などにも根付いているのではないか。という考えです。
和を乱さず、周りと協調していくことが重要で、周りの迷惑にならないようにする。こういった考え方が自分という存在を社会という枠に当てはめて、抜け出せなくなっている原因だと説明しているんです。
同じことを言っている人は割といて、2018年8月1日にPRESIDENT Onlineに投稿された橋下徹通信にも書かれています。
元巨人軍のエース、桑田真澄さんに講演会を開いてもらい、大阪の学校のスポーツクラブの指導者を集めて話をしてもらった。その場で桑田さんが話したことで、今も忘れられないことがある。桑田さんは、「日本の学校スポーツのもともとの源流が、野球である」と語るとともに、その野球指導の根幹には、旧日本軍の「兵士養成プログラム」があると言われたんだ。僕もそのタイミングで、日本の学校スポーツの歴史について徹底的に勉強した。高校野球の歴史を調べると、戦時中の軍事教練が、その練習方針や精神面に大きな影響を与えていることは事実だった。朝日新聞がもっとも嫌う、旧日本軍の軍事教練が、高校野球の部活動の根本にあることがわかり、そこから僕は学校スポーツの問題、もっといえば日本スポーツの問題の根源が、甲子園にあると考えるようになった。桜宮高校の改革も、この「兵士養成プログラム」からの脱却を目指した。
by 橋下徹「球児を甲子園洗脳から解放せよ」 | プレジデントオンライン
ならば高校を作ってしまえ「ゼロ高等学校」
僕がこの本を読み終わったところで、こんなニュースが話題になっていました。
実業家の堀江貴文氏(45)が主宰者となり、座学を目的とせず“行動”を目的とする新しい高校『ゼロ高等学校』を10月1日に開校する。26日、都内で行われたメディア記者発表会に出席した堀江氏は「行動力」の重要性を訴えかけた。
by 堀江貴文氏が「行動」を目的とする高校を開校へ 一期生の才能に期待 – ライブドアニュース
なるほど。これまでの教育を批判だけではなく、自ら学校を開設するんか
会見の様子がこちらです。
現役教師としてこの本に対して思うこと
僕は堀江さんの考え方には概ね賛成しています。
進路指導をする際も、
将来は歌手になりたい?今なろうよ。Youtubeやニコニコ動画に歌をアップしよう。
とアドバイスすることもあります。しかし、逆に子ども達が「えーでも収入が安定しないと」みたいなことを言うこともあります。
最近は自分の夢を持たない子どもや、自分の夢を思いついても「現実的には無理だよな」と諦めてしまったりする子どもを見かけます。保護者による強い反対意見もあれば将来を諦める理由には十分です。
僕自身、親からは教師になることを反対され、大企業に入れと諭されてきました。勉強しなさいと言われたら何が何でも勉強したくなくなる性格なので、小言に対してはすごくイライラしました。バブル期を過ごしてきた人にとっては、企業に労働者として雇われ、定年退職するまで働き続けることが正義で、当たり前のことなのでしょう。親の言うことを聞き、大人が想定しないような考え方を「その考え方は変だ」という言葉で片付ける。それって何か違うよなぁなんて考える子どもが、これから増えてくると、個人的に予想しています。
ただ、2020年より始まる新学習指導要領によって、教え方、考え方も変わった教育を日本はやっていきます。プログラミング教育も小学校から始まります。センター試験も変わります。
そんな時代だからこそ教師の資質も問われているのだなと理解しつつ、これからも教壇に立ちます。
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