ペリカンの万年筆、スーベレーンM805デモンストレーターの購入・調整・修理までの道のり

長かった。あぁ長かったさ。

じゃん。新しい万年筆を買いました。

ペリカンというドイツ製の万年筆です。スーベレーンM805デモンストレーターMを今回は選びました。

僕が4年ほど前に買ったのはM400(EF)です。4年間使い続けてきて、ペン先も柔らかく、書きやすく育ってくれました。

ただどうしても気になるのがM400の軸の太さ。細いんですよ。僕はもっと太い万年筆で、ぬらぬらと書きたい。ずっとそう思ってきました。

当時は生まれて初めてのお高い万年筆ということで、いろんな場面で使うことを想定していて、EFという極細字という細さのニブ(ペン先のこと)を選びました。しかし細さという利点の代わりにカリカリシャリシャリとした書き味が不満となり、M805の購入に至ったのです。

更に今回購入した万年筆、書き味にかなり不満がありましたが、今こうして快適に使えるようになるまでだいぶ時間がかかりました。

この記事では、ただ買ったぞ!という内容の後に、ペリカンの万年筆の修理・調整の経緯やかかる日数なども紹介します。

スーベレーンM805デモンストレーター

ペリカンが万年筆のメイン商品として展開している「スーベレーン」という万年筆があります。スーベレーンとは「優れもの」という意味で、使いやすさ、満足度の高さを謳っている商品です。

型番でいうとM400、M600、M800、M1000が用意されおり、型番の数字が大きくなるにつれて軸が太くなっていきます。

割と一般的に言われているのが、フットワークが軽く、気軽に使える補足小さめのM400が初心者向け。ペリカンの万年筆の中でも満足度が高く、ファンも多い、太い軸でぬらぬら書けるM800が看板商品という位置づけです。

M400とM800の間に位置しているのがM600、M800よりも更に太くぬらぬら書きたい場合はM1000という感じです。

僕としてはM400を購入してから、いつかはM800を買いたい。M800ではないにしても、もっと本格的な万年筆を買いたいと思っていました。

今回購入したのは、スーベレーンM805デモンストレーターというものです。M805というM800に5が足されているこの型番は、18金であるペン先にロジウムコーティングが施されて、シルバー一色に仕上がっているモデルです。

普通のM400やM800なら、ペン先は金と銀の2色でお洒落です。ただし装飾品という色が強すぎるという一面があるため、ちょっと主張が激しいんです。

そんな方におすすめなのが一桁台に5が付いたモデルというわけです。

ほら、ペリカンのくちばしもシルバーです。

そして、何より強烈な印象を与えているのは、軸が透明だということ。これがデモンストレーターというモデルです。

ペン先や他の金属部分を除いた樹脂の部分。全てが透明です。

デモンストレートとは「説明する」「実演する」という意味があります。元はペリカンが自社の万年筆の良さを実演販売する際の営業向けモデルだったんですが、それが数量限定で生産されました。

この流れ、どことなくキーボードのRealForceと同じ臭いを感じるのは僕だけでしょうか

M800のデモンストレーターとしては過去にペン先が金と銀の2色で他の金属部分も金色なM800デモンストレーターも存在するんですが、個人的には透明な軸に金色っていうより、透明+銀色の方が華やかさとクールさを兼ね揃えている感じがして好みドンピシャだったのでM805デモンストレーターを選んだというわけです。

M400とM800の比較

改めてM400と今回のM805って、大きさも太さもこんなにも違うんだなっていうことを、思い知らされました。

特にこのペン先、M400がEFという極細だからというのもありますが、M800が如何に大きくて太いのかがわかります。

当然、ペン先に使われる金の量も多いので、でかい方が高価なわけです。

トラブル発生:書き始めにかすれる

M805を購入したのが9月1日でした。では何故僕がこの万年筆のことをブログに書くのに、10月までかかってしまったのか。

それは、この万年筆を修理に出していたからです。

ここまで紹介してきた画像は、9月1日に購入し、9月3日に届き、そのタイミングで撮影したものです。

しかし、見た目の美しさに圧倒されながらインクを吸入し、いざ書こうとしたところ、かすれて書けなかったのです。

新品の万年筆の特徴についてひたすらぐぐっても、書き始めにかすれることはよくあることであり、そのまま使っていればインクフローが良くなる。という記述が大半でした。

しかしM400を購入した時にはこんなトラブルに遭遇したこともなかったので、かなり不安でした。

川崎文具店へGO

そこで大学時代の先輩に相談したところ、岐阜県大垣市にある川崎文具店の店長さんが万年筆の調整に長けているということを教えてもらったので、届いた日の翌日に行ってきました。

「ペリカンの万年筆は、出荷前の最終チェックで自社インクで試し書きをしているため、洗浄しないと乾いたインクが残っている可能性がある。」と話す店長さん。

この日はペン先の洗浄と、インクフローを良くするために、少しヤスリで削ってもらったりと手を尽くしていただきました。

この時の様子は、Podcastで配信しています。

メーカー修理へ

川崎文具店の店長さんには本当に感謝しています。しかし、やっぱりペン先が最初から良くなかったのではないかと感じが僕は、販売店に連絡し、メーカー修理に出してもらうことにしました。

幸い、購入して到着してから3日ほどしか経っていなかったので、丁寧に対応していただけました。

そこから販売店の担当の方と何度もやりとりを重ねた結果、ペリカン日本に送ってもらうとになりました。

他のブログの方で、ペリカンの万年筆の修理について書かれたものを読み漁ると、修理に出してから大体2週間ほどで見積もりが上がってきて、修理自体にもう2週間、合計1ヶ月ほどかかるという感じでした。

今回も例外ではなく、9月29日に修理が終わり、約1ヶ月かかって販売店へ戻ってきました。

僕の筆圧がM400に慣れてしまって、筆圧が弱まってしまったからか、ペリカンとしては書き始めがかすれてしまう件は正常の範囲内だったそうです。ですが、今回は筆圧が弱くても書き続けられるようにと調整を施していただけました。

あぁ、長かった。そしてあの噂は本当だったんや。

ペリカンM800が最高!という話は万年筆界隈では割とよくある話なんですが、この話には続きがあって、

「調整された後のペリカン スーベレーンM800が最高だ」というのが本当のところです。その人の書き癖に沿った形で育ち、主の筆圧に丁度良く合うよう調整されたM800の書き味が良いというのが正解です。そのことが今回の一件で身に染みました。

それと、販売店からは実際にペリカンに送った際の明細やら、僕から販売店に万年筆を送った際にかかった送料なども一緒に届きました。

なんだろこれ、お守り?のようなものも一緒に。

この販売店さんには本当に丁寧に対応していただきました。楽天でもこういう紳士的なお店があるんですね。

万年筆は試し書きをした後に買おう

ここで得た教訓は、もし万年筆を買うなら、川崎文具店のように万年筆に対して精通している方がいるお店で試し書きをさせてもらい、その場で購入しよう。でした。

僕の今回のことのように、この型番の万年筆が欲しい!という場合は在庫と相談することになりますが、試し書きをしない状態で、しかも通販で買うということが、万年筆の場合はリスクが大きかったと痛感しています。

まさか注文してから再度送り直し、メーカーにて修理・調整してもらうことになるとは思ってもみませんでした。

定価は6万円ですが、楽天では4万円台だったんですよ・・・。でもこの安さのカラクリを、まさかデメリットとして実感するなんて・・・。

初めての万年筆ではなく、2本目というのも不幸中の幸いでした。9月中はこれまで通りM400で乗り切りました。

こうした状況が起こったとしても良いと思うなら通販でも構いませんが、少しでも安心して万年筆を買いたいなら、信頼できる販売店で買うのが一番だなと実感しました。

iPadの本まで出しておいてあれなんですが、僕はアイディアなど思いついたことはノートに万年筆で書き出す派です。ApplePencilも使ってはいますが、やっぱり溢れんばかりのインクでぬらぬらと書いていく万年筆と書きやすいノートの組み合わせが、僕の頭の中から湧き出てくるアイディアを書き留めるのには最適でした。

PCに対してHHKBがあるように、紙に対しては万年筆という位置づけです。

こういう話はまだどこかでお話しようかしら。

今回は万年筆のお話でした。万年筆を買う際や修理の参考になったら幸いです。

M400、今までアイディアを受け止めてくれて、本当にありがとう。M805、これからよろしくな。

この記事を書いた人

魚住 惇

魚住 惇

高等学校教諭で『教師のiPad仕事術』の著者。 AppleTeacher、スクールプランニングノート公式手帳達人、相棒はHHKB HYBRID Type-S 白無刻印、HHKBケーキの人。コーヒーは生豆から焙煎。Podcast「さおとめおとらいふ」始めました。

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