学校のICT活用が全然進まない原因を文科省がズバリ言い当てた動画がすごい

僕は自著である『教師のiPad仕事術』のあとがきに、こんな内容を書きました。

人間にとってコンピュータは、本当に便利な道具です。僕のような仕事が遅い人間であっても、 iPad を活用すればなんとか仕事が回せるようになるわけです。
そんな便利なものを、いまの子どもたちは手のひらで使っているのです。本当に素晴らしい時代になりました。

しかしながら、勉強にも情報収集にも活用せず、ゲームや動画の視聴ばかりしている光景を見た大人たちは、「子どもたちの大切な時間が奪われていく」「スマホは勉強には不要」だと思い込み、校内での使用を禁止したり、時間を制限したりする。こういう学校現場の現状を見ると、とても残念でなりません。

『教師のiPad仕事術』あとがきより引用

僕は本気で、生徒が日常生活で使っているスマホを勉強に活用する未来を考えていました。しかしこの話をすると、どうせゲーム依存になるだの、授業中に勝手に動画を撮るだの、リスクの話を持ち出す方がかなり多くいらっしゃって、僕の「コンピュータを使った未来の授業像」というのが遠くの彼方へ行ってました。

そんな中、世界では新型ウィルスが蔓延し、学校は臨時休校となりました。

顕著に現れたのは、オンライン授業やオンラインで課題の提出ができる環境が整っている学校と、紙で課題を配って分散登校で回収作業を行った学校との教育格差でした。

ICTを活用すれば、子ども達は自宅に居ながらも学習を進めることができる。対面での授業できない非常事態であっても貴重な学びの時間を確保することができる

いかなる時でも、誰もが学びたいと思った時に勉強を勧めることができる。教育の理想の形だと思います。それに近いことが実現できる方法がICTを活用することです。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

しかし実際はというと、今回の臨時休校中でもICTを活用しない学校がかなりありました。上の図は、4月16日時点で文科省が調査した、臨時休校中の学習指導の取り組み状況です。学校から生徒に課題を課す際、紙の教材のページ数を示したり、プリントを配付したと回答したのが100%であることに対して、同時双方向のオンライン指導を通じた家庭学習を実施できたのは、たったの5%でした。これが日本の現状です。

なぜ日本の教育は、こうも遅れてしまっているのか。その原因を、文科省の方が解説していました。

「ICTなんていらない」を正当化する悪しきプライド

一番私問題だと思うのは、ICTが使えないことをなんとかして正当化しようとする先生がいらっしゃいます。
教育現場にはICTなんていらないんだとか、ICTを入れるともっと作業が大変になるとか、周りの学校、周りの自治体はやってないからICTなんていらないだろうとか。なんとか自分がICTができないということを正当化したい。それだけプライドがお高いんでしょうけれども、そうしてきたことによって、どんどん子どもたちが学校現場が、ICTから取り残されてきました。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

文科省 初中局情報教育・外国語教育課 髙谷浩樹課長が動画の中でズバリ言い当てました。ICTがうまく使えない&プライドが高い先生が、自分達がICTを使えないことを正当化しようとして、ICT不要論を唱えているのではないかということを。

もうね、この人の動画での発言を聞いて、見て、目頭が熱くなりました。ほんと、今も泣きそうです。ここまで学校のICT化について語ってくれた方は他にいただろうか。

僕がICTを活用した未来の授業の話をどれだけ語ったとしても、「あ〜そういう未来もいつか来るかもしれないね〜」くらいにしか、話のネタとしてしか聞いてもらえなかった。

心の中でずっと「いつか来るかもしれないね〜じゃなくて、自分達でその時代を作るんだよ!今から!」って叫んでいました。

誰も分かってくれない。黒板とチョークばっかりで授業している。こんなんじゃ効率が悪くいままだ。その想いでずっと僕はiPadをこれでもか!っていうくらい活用してきました。

ほんとこの動画、素晴らしいなって思います。全国の小中学校は全部で3万校くらいあるはずなんですが、この動画の再生回数は2020年6月7日夜の時点でまだ4300くらい。全然再生されていません!

そもそも動画は、少し前に話題になった、「えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?」の動画を配信したYoutubeチャンネル「「GIGAスクール」ch」で新しくアップされたものです。

文字起こしされた記事がtwitterで話題になっていましたね。

「ICTを使おうとしない自治体さんにこれからは説明責任が生じてきます。」という言葉が個人的に耳に残りました。時代が変わったんだ。人々の感覚が変わったんだという変革を感じます。

「GIGAスクール構想の実現」とは のざっくりまとめ

話を今回の動画の話に戻します。2020年現在の日本は、GIGAスクール構想の実現に向けて動いています。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

そもそも、なぜGIGAスクール構想を進めているかというと、社会のバージョンがアップデートされるからです。

  1. 狩猟採集社会
  2. 農耕社会
  3. 工業社会
  4. 情報社会
  5. Society 5.0

人類が進化してきた中での社会にバージョンを付けるとしたら、こうなりましたよっていう話です。そして社会全体を見ると、Society4からSociety5に移り変わっていこうとしているわけです。

ところが学校現場を見てみると、どうみてもSociety3から進化してないんですよ。産業革命と富国強兵によって出来上がった学校制度の名残が至る所にある時点で3のままです。

学校を卒業したら大半は労働者として資本家の言うことを聞いて働くことになるので、上から言われたことをはいはいと言うとおりに動く人材が「おりこうさん」として扱われます。教師も例外ではなく、個性を尊重すると言いながら出る杭を打ち、40人全員を同じ方向に向かせることができる人が良い担任として評価されます。

この現状が良いか悪いかという話ではなく、Society3ではこれが当たり前の考え方なんだというお話です。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

そこで新学習指導要領では、まずは情報活用能力の育成に力を注ぎましょうという話になりました。それも言葉を話すのと同じレベルで。鉛筆を使うのと同じようにICT機器を使えるようになってねって言ってるわけです。

ちなみに学校におけるICTを活用した学習がどんな場面で役立つのかについては、平成26年(!)に文科省がまとめた事例があります。

事例が集まっている中で、日本のICT活用の現状はどんな感じかというと、

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

じゃん。PISA2018で調査したICT活用調査で、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国最下位でした!ブラジルよりもメキシコよりも圧倒的に低いです!

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

その原因は、大人たちのICT機器に対する意識です。日本の子ども達はコンピュータを使って宿題をしたり、勉強のためにインターネットを利用したり、デジタル機器を教育に役立てようとしません。その代わり、LINEしたりゲームしたり動画を見たりします。日本の子どもを育てる大人達が「ICT機器は勉強には不要なもの」というイメージを醸し出した結果、ICT機器を勉強に活用することができない子ども達が育ちました。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

この影響は先ほどのPISA調査にも顕著に表れていて、学習到達度調査がコンピュータの画面上で解答する方式に変わった途端に日本の成績がだだ下がりしました。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

この結果を受けて、日本は学校内に3クラスに1クラスの割合でコンピュータを授業で使えるように配備する計画を立てました。しかしこのグラフのように、現状は緑のラインにはほど遠い台数しか配備されていません。1人1台が100%の部分ですが、到達している都道府県は存在しません。

しかも僕が勤務している愛知県なんて、全国で最下位ですよ。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

そんな現状を打開するために打ち出した計画、それがGIGAスクール構想というわけです。小中学生に1人1台の端末を配備して、文房具のようにICT機器を使うことで効率良く学びましょうというお話です。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

1人1台端末の授業が実現すると、生徒の活動状況は全てクラウド管理です。AIが生徒1人ひとりの特性を理解し、成績や苦手傾向に合った課題を出したり、アドバイスしてくれます。学校の先生の仕事は無くならず、集団での授業に特化していきます。文科省は既にこうした新しい学校の形の実現に向けて動いているわけです。

最後に

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

動画ではこうも言われていました。

学校というのは子どもたちその地区で学校で一番最先端のことを教えてくれる場だったんじゃないでしょうか。
子供たちがワクワクしながら学校現場に学校に行くというのがまさに学校としてのあるべきところだったんじゃないでしょうか。
ところが今どうでしょうか。
子どもたち家にいるとICT、いろんな社会最先端のワクワクしたものに触れられます。
ところが学校に行くとむしろICTが遅れている。そんな学校像やって子供たちはワクワクしながらか通いたくなるでしょうか。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

あぁ、もう、この人の下で働きたい。一生ついていきたい。

情報活用能力をみんなで育成しましょう。学校の授業ではICT機器を文房具の1つであるかのように使いこなしましょう。それと同時に紙の事務作業が中心だった校務の情報化を推進しましょう。

できないことができないでいいですぜひみんなと一緒にやっていこうじゃありませんか。
私はぜひ学校の先生方そして学校の管理職の方々さらには教育委員会の先生の方々、さらにはもう向かう氏を含めわれわれ教育関係者ぜひここを共有していきたいと思っております。

「GIGAスクール構想の実現」とは 〜学校情報化の⽬的と概略〜 より引用

僕が心からやりたい!と思った内容に完全に一致しました。自分でも鳥肌が立つくらいです。これを最後まで読んで下さった皆さん、来たるべきSociety 5.0のために、子ども達の未来のために、学校のICT化を進めましょうよ一緒に!

この記事を書いた人

魚住 惇

魚住 惇

高等学校教諭で『教師のiPad仕事術』の著者。 AppleTeacher、スクールプランニングノート公式手帳達人、相棒はHHKB HYBRID Type-S 白無刻印、HHKBケーキの人。コーヒーは生豆から焙煎。Podcast「さおとめおとらいふ」始めました。

詳しいプロフィール