これを読んでくださっている教員の皆さん、普段どうやって授業管理をしていますか?何月何日何限の授業で、どのクラスでどこまで教科書を進めたのか。どんな話で盛り上がったのか。誰を指名して問題を解かせたのか。教師って、授業をやるだけでも覚えておかなきゃいけない事がめちゃくちゃ多いです。

「覚えておかなきゃならないこと」を、「忘れても良いこと」にしてくれるもの。それが手帳だと僕は思っています。

今回は、僕がスクールプランニングノートに書いている内容について書きました。

まさに教師のための手帳

この手帳についてご存じでない方のために、簡単に説明します。スクールプランニングノートとは、学事出版が販売している教師向けの手帳です。教育現場では教務手帳などが年度初めに配付され、ほとんどの先生方がそれを使っていますが、成績を書き留める閻魔帳とは違い、学校の先生方の業務を円滑に進めるために、効率良く授業や予定を管理するために考案された、教師の激務を支えるために生まれた手帳。それがこの手帳です。Amazonなどの通販サイトでも購入できます。

基本は「記録」

教員にとって手帳は、補助記憶装置です。覚えておかなきゃならない膨大な情報を、忘れても良いことにするために記録する。それを実現するための手帳です。僕はこの手帳を使い始めて3年目を終えようとしていますが、保護者会や生徒指導などで過去の記憶を遡る時に、幾度となく助けられました。なので今回紹介する内容は、どんな内容を日々記録しておけば、教師の仕事に役立つのか。にもつながる話だと思います。

ペタペタボードに貼る内容

この手帳を開くとまず目に入る、薄紫色の厚紙の部分。ここは、時間割表や名簿など、よく参照する内容を貼ると便利です。

実際に僕がここに貼ったのは、自分の時間割と、担任しているクラスの時間割

それと、コンピュータ室別の時間割。コンピュータ室でいつ何の授業が行われているのかが書かれているものです。その横に写っているのは、クラス名簿と、クラス役員の表です。クラス名簿の名前の横には読み仮名を必ず書いています。4月にクラスが新しくなったタイミングで、みんなの名前を覚える為に使います。

それから、手帳を開いて、さらに開いて見る前提の場所に貼った年間行事予定表です。手帳の枠を超えて、次に出てくる週間レフトのページと同時に年間の予定が確認できるので、授業の予定を立てたり1週間の予定を確認するときにめちゃくちゃ便利です。

システム手帳で言うと、自分が必要なリフィルを用意している感じでしょうか。学校という職場では、それぞれの種類の予定が、その種類ごとにまとめられています。部活動の予定表や係の予定表など、関わっているものが多いほどあちこちの予定を気にしなければなりません。しかも全て紙で渡されるので、その紙を失くさないようにするのも大変です。

そういった紙類を、全てこのペタペタボードに貼るだけで、必要な時にパッと見直せるようになります。何度も見るような表などは、ここに貼るとすぐ見られるようになって便利です。

週間計画表

1週間の予定を左側に書き、予定以外のメモなどの内容を右側に書く。このスタイルを一般的に「週間レフト」と呼びます。縦軸を時間、横軸を日付にしたこのバーティカルタイプの手帳は、クオバディスが発売してから広がりました。

左側はExcelで効率化

左側のページ用にExcelのシートを作成したので、気がついた時に10周分ほど印刷して、切って貼るようにしています。

あとは、担当するクラスごとにその授業の時間にどこまで進めて、次回はどこから始めるのかを、必ず書くようにしています。授業前にそのメモを見ておけば、「あ、前回ここで終わったから、今回はここの復習から入ろうか」という感じにシミュレートできます。

右側はとにかくメモ

右側のページは、その日に起こったことをとにかく書きます。誰と何を話したのか。クラスで誰が休んだのか。気になった生徒の様子など、どの情報が後で使えるのか、その時には判断出来ないので、気になることをとにかく書きまくります。

強いて言うなら、朝の欠席連絡で、保護者が病状などを細かく言ってくださった内容などはここに書きます。あとここに書いた欠席者で、同じ名前が連日続いたとか、そういったことも後からわかってきます。とにかく情報を蓄積していくことを目標に、メモしまくります。

それと、絶対にやってるのが、職員室の自分の机に戻ってきた時に、たまに貼ってある付箋。あれをこの右側のページによく貼ります。授業から戻ってきたり、部活から戻ってきたりすると、不在時に訪ねてきた人が残したメモ書きがよく置いてありますね。あの内容をどこかに書き写すなんて、時間が勿体無いです。その付箋やメモを、そのままこのページに貼る方が効率が良いです。手帳の内側ポケットに挟んでおくのも良いと思うんですけど、それだと逆に失くしそうなので、そのメモを受け取った日付の付近に貼っておきます。どのメモをどの時期に受け取ったのかがわかりやすくなって、内容を思い出しやすくなります。

あとは、PTA総会の出欠をまとめたりする際に、誰が出して誰が出してないのかを、名表にまとめたものも、この右側のページに貼っています。その時期の提出物で、必ず全員が提出すべきものを、チェックする為です。この手帳を使っていない時は、よく何目的で使っていたのかわからない名表が机の上に置いてあったりしましたが、必ず手帳に貼るようになってからは、そういったことはなくなりました。手帳1冊に情報をまとめるって、僕にとっては本当に大事なことでした。

行き場のない紙が、机のごちゃごちゃを生むんですよね。整理する先が決まっている情報は、片付くのが早いです。

後ろのメモページ

写真を撮ろうと思ったんですが、書いてあるないようが個人情報だったのでやめました。

週間計画表のページが1年分終わった後に、ノートのようなページが出てきます。僕の場合は、担任しているクラス全員の名前が見開きで等間隔に書いてあります。そこに保護者会で個々に話す内容をまとめてあります。週間計画表のメモ欄に書いた日常の出来事を書き写したり、進路先がどこだったのかをまとめています。保護者会で、生徒一人一人の日常生活を話すのって、結構記憶力を要求することですよね。でも記録をしっかり取っておけば、保護者に良い情報を差し出せます。特に保護者会では、家庭では見られない学校での生徒の様子を皆さん知りたがるので、1人1エピソード以上必ず伝えられるようにしています。そんなことができるのも、普段の生徒の様子をメモしてできた蓄積があるからです。

一旦まとめます

如何でしょうか。僕はこの手帳を使う中で、一見名前にある「プランニング」とは少しかけ離れた使い方をしているように思います。プランニングは未来について考える事。それに対して僕が書き留めているのは主に「記録」です。ただ、この記録は未来に使うための記録です。いつ役に立つか分からない。分からないから記録します。

さて、以下の文章は、そもそも教師が手帳を持つこと自体について、ちょっと考え事をした文章です。時間に余裕がある際にお読みください。

そうそう、僕以外の先生方が、どんな使い方をされているのか気になる方は、公式ガイドブックを見てみることをオススメします。僕のここには書いていない活用例も載っていますので、良かったら是非ご覧ください。

手帳を持つ派、持たない派

手帳を頼りに回りを見渡してみると、人を分かりやすく分類できます。手帳を持つ派と持たない派です。ぱっと見で分かります。ただ最近は、スマホに予定を入れている人も増えてきたので、隠れ手帳派とも言うべきでしょうか。

僕が教育業界に入ってビックリしたのが、手帳を持たない派の先生方が結構多いということでした。手帳を持っている人が少数派です。これはどの学校に行ってもほぼ同じ印象を受けました。

教務手帳があるじゃん

ほぼ全ての学校では、新しい年度が始まる頃に、「教務手帳」という手帳が全教員に配られます。授業の出席簿として使ったり、定期考査の点数を記入する為に使っています。

この教務手帳に年間行事予定表を月ごとに切って貼る人が多いです。一応、授業時間数を数えることもできます。そういう意味で言うと、全教員は手帳を持っている。ということにも一応なります。

でもこの教務手帳、出席簿以上の使い方をしようとすると、書くスペースは少なすぎて、全然メモできないんです。

まとめ

僕が大好きな紳士グッズ番組、「俺のダンディズム」の手帳編では、こんな言葉が出てきました。

手帳選びは、恋人選びと一緒なの。一目惚れで付き合うこともあれば、中身で付き合うこともある。自分では絶対に大丈夫だと思っていたのに、実際付き合ってみると、うまくいかないなんてこともあるの。それだけ手帳選びは難しいってことね。

俺のダンディズム「手帳」より

この言葉で言えば、僕は教務手帳を相性が悪かったんです。というか個人それぞれ使いやすい手帳があるはずなのに、全員に同じ手帳を使う事を強要する職場も、今思えば少し変かもしれません。

日本で最初に手帳を使ったのは、福沢諭吉だと言われています。その後、軍隊の記録用として使われ、サラリーマン時代になってからは労働者は企業の掟などが書かれた支給された手帳を使うようになりました。リーマンショック後は経費削減のために企業が従業員分の手帳を支給することを止めたことから、今の手帳ブームが来たと言われています。

覚えている人と、忘れている人。僕は正直言うと、忘れる側の人間です。ブログを書いたりLinuxサーバいじったり、何かしら抱えているものが多いのか、よく忘れます。だから手帳が必要なんです。少なくとも僕には。

中間のまとめにも書きましたが、僕は日常で起こったことをとにかく記録したいと考えています。最近ではiPhoneでメモを取ったりっていう方法もありますが、教育現場ではまだまだ子ども達の前で教師がスマホをいじいじするのには抵抗があります。なんかメモ以外のことをやっている感じに見られてしまいます。

そんな僕にピッタリの、最高の手帳です。これからも愛用し続けます。