2018年11月3日、佐々木正悟さん主催の情報整理系のライフハックについて語るイベントが開催されました。
内容を大まかに言うと、これまでEvernoteをずぅーっと使ってきた佐々木さんが、Scrapboxで情報を整理しだしたぞという話でした。
ちなみにわたくし、最近はHHKB BTを持ち歩くようになりまして、iPadと組み合わせて、出先で使っています。
ちょっとこの画像は古いんですが、だいたいこんな感じです。佐々木さんの話などをメモる時は、きっと手書きじゃ追いつかない。それならば持ち味のタイピングで、しっかりエディタに打ち込もうじゃ、あーりませんか!と思ってスタンバっていたんですよ。
そうしたらいきなり「それってHappyHackingKeyboradですか?」と声かけられたわけですよ。ハートにズキュンときちゃいました。
このイベント、まだイベントも始まってもいないのに、こんなコアな人(HHKBが分かる人)と話して良いのか?相手が話せる人だとわかったら、ずっと語っちゃうぞ?ええんか?
ということすら考えずに、イベント開始前からべらべらと喋っちゃいましたね見事に。もうダメなんですってば僕にキーボードを語らせたら。
そういう意味で、このイベントは「ただ事じゃないぞ」感が僕の中で満載でした。「ここには僕の話が通じる人がおるんや」というワクワクが止まりませんでした。流石、Scrapboxや佐々木さんを目当てにした人達の集まりですぜ。
以下の内容は、佐々木さんが当日に見せていたスライドの内容をメモし、僕なりに解釈したものです。箇条書きになっている部分は、スライドに実際に表示されていたものをほぼ再現しまいた。文章は、佐々木さんが説明していた内容に僕なりの解釈をつけました。参考にしていただけると幸いです。あと、考え方として間違っている箇所がありましたら遠慮なくご指摘ください。
ツリーとリゾーム
みなさんは、「ツリー」と「リゾーム」という言葉をご存じでしょうか。僕は初めて聞きました。「ツリー」はツリー構造のツリーです。木の枝が広がるように、ある情報に対する関連情報が枝分かれした先に付いているようなイメージです。マインドマップがこれに近いですね。
佐々木さんが言うには、Evernoteは「ツリー」構造で情報を整理するものだと。これの利点は、しっかり分類し、管理できること。しかし、不利な点は分類しすぎると、どこに何を入れたのかがわからなくなってしまうこと。
この自分の管理外に言ってしまった情報がある光景が「リゾーム」という状態で、佐々木さんは墓場と呼んでいました。
整理しきれるならEvernoteへ
- 整理・参照時に思い出せる
- 実態が法則を反映している
- 情報の性質が法則を形作る
- 情報を特定出来なくても法則上諦めがつく
つまり、人が情報を整理するときは、あとから参照する際に、「あれは確かここに入れたはずだ」と思い出せることが大事だということです。ツリー構造が浅かったりと、その人が管理できる範囲に収まっているなら、自分で決めたルールの通りに情報を整理できていると言えます。同じフォーマットでデータを集め続けていると、Evernoteだったらノートブック内が同じ法則で記述されたノートの一覧になるので、スクロールして眺めることが可能となります。かならず自分が決めたルールで保存したもののみがそこにあるなら、逆に言えば、探したいデータがその分類で分けられるはずなのにデータが見当たらない。そんな時は記録を忘れている時なので、そもそも見つかりません。
すべての情報をEvernoteへ
- inboxはEvernote
- リピートタスク別情報整理
- アイディアはEvernoteに入れていない
- アイディアはリゾーム
佐々木さんの場合は、まず全ての情報をEvernoteに入れるということ。人によって違うと思いますが、佐々木さんの場合は、日記など過去についての情報を全てEvernoteに入れるそうです。
そして、現在自分が実行しているリピートタスクごとにノートブックがあり、タイトルが日付のノートにそれぞれの内容を書いていくっていう感じでした。
しかし、アイディアだけはEvernoteには入れません。アイディアは未来のどこかで使うもの。未来のどこかに使うものを、過去の中に混ぜてしまうと、なかなか掘り出せなくなります。しかもアイディアは、分類しづらいという特徴があるわけです。「今思いついたアイディアは、どこに分類したらいいんだろう」みたいなことを考えてしまいます。つまり、アイディアをEvernoteに溜め込んでばかりいると、リゾーム化してしまうんです。新しい分類がどんどんアイディアで発生してしまえば、分類するだけツリーが出来ます。そうなるともう全てを把握することは不可能です。
ツリーはリゾーム化する
- 時系列には時系列以外の法則が入っていく
- 意識できる範囲には限界がある
- 意識できない範囲のことは
- 見れば思い出す
- 意識しない
何故ツリーがリゾーム化するかというと、分類しきれないものを無理矢理分類するからです。意識出来る限界の範囲を超えて分類していくと、全てを把握することが出来ません。
なので、未来に必要な、未分類の情報は、Scrapboxに貯めていきましょう。という感じでした。
ふぅ。ここまででやっと、Scrapboxに入れるべきものが見えてきた感じがしますね。
Scrapbox
- 見たいものを入れる
- ハッシュタグで検索
- 特定の何かを探したいわけじゃない
- 覚えていないことを探す
さてここからはScrapboxの話に入ります。Scrapboxの使い道は、ツリー構造では格納することができないようなデータです。「これを探したい!」という感じに検索するのではなく、「何か関連することはないかな?」という感じに検索すると、結構気持ちよく使えます。
Evernoteの場合は、「あのノートブックの中のあの資料が見たい」っていう感じに探したり、「どのノートブックに入れたかは分からないけど、あのメモはEvernoteに入れたはずだ」という想いで検索します。
Scrapboxはそうではなく、「何を入れたかは覚えていないけど、関連する内容をハッシュタグなどで表示し、結果として発見につながる」っていう行動を促進しているんです。
- 全体像が見えない情報整理
- 見つけるのではなく見つかる可能性を向上させる
- 使わないかもしれない(使うかもしれない)情報は見つからなくてもかまわない
- 未来の情報を扱う
- 未来に時系列はない
- あるのなら「カレンダー」に入れるべき
- あとで使えるようなものをScrapboxへ
未来の予定で、開始時間が決まっているものなら、それはカレンダーに入れるべき情報です。Scrapboxに入れるべき情報は、使うかどうかもわからない、けどいつかは役に立ちそうなネタなどです。何かを考えたり、アイディアを捻出している時に、ふとハッシュタグをつけてみると、以前思いついた内容で今考えていることに関連していることが出てくるわけです。この「あぁ!これやん!」みたいなのがたまらなく気持ちが良いんです。
イベント全体を通して
今回のこのScrapboxイベント、ざっくり言うと「ライフハック心理学の佐々木さんが、これまでEvernoteを使っていたが、Scrapboxにアイディアを入れ出したらなんか良さげになったぞ」という話でした。
あくまで佐々木さんの使い方によるものなので、Evernoteとの併用の方法がメインの話だったように思います。でも、これからScrapboxを使ってみたいっていう人にもヒットする内容でした。
ただなんというか、Scrapboxって、実際に使ってみたり、使っている光景を目にして見ないと、「うおお!これや!これやで!」みたいな発見時の快感って理解しづらいんですよ。しかもこれまでなかったツールなので、Scrapboxが無いと仕事にならないものって、現段階ではそう多くはないんです。これまでの考え方のツールとは違ったものなので、使ったら便利だけど必須ではないんですよね。
僕自身は2018年8月頃までずっとScrapboxを使わずにいましたが、2018年11月現在では、もうScrapboxが使えないと仕事にならない!というくらいまで、どっぷり浸るようになってしまいました。
これまでにない考え方のツールって、刺さると超気持ちいいんですよ。
ちなみに懇親会の後もHHKBの話で盛り上がったりと、なんかコアな人たちの集まりだったのがめっちゃ楽しかったです。職場にはHHKBユーザなんて他にいませんし、そもそもScrapboxを使っている人どころか、Evernoteすら使わない人たちに囲まれて仕事をしています。Scrapbox・Evernote・ScanSnapiX1500を駆使して仕事をしている人なんて教育現場で何人いるんだろうっていう感じです。
いやぁそれでも、そういうことに興味のある人たちの集まりは本当に楽しい。僕が話す内容をわかってくれる人たちが、こんなにもいる。まるで宇宙兄弟の閉鎖ボックス試験で、ムッタ達がうどんを作っている情景のようなことが起こっていました。
宇宙飛行士の選抜試験を受けにくるような人々は、まず何よりも宇宙が好きなのだ。自分の人生を、将来を決める時、強烈に好きだという気持ちを抱いてその道に進む人は少なくない。今までどんなに宇宙の話をしたくてもできなかった。うどん作りをシャロンに教わったという話をきっかけに、どんどん宇宙の話で盛り上がっていくメンバー。
ほんとこれ。こんな感じの飲み会でした。ライフハック系の話をする飲み会は、話していて本当に楽しい。
また名古屋で、ライフハック系のイベントが行われることを、楽しみにしています。