僕のポリシーというか拘りの話なので、決して万人受けする話ではありません。授業というのは、知識を効率よく伝える場だと考えています。教科書に書いてある知識をその通りに受け取れる生徒なら、そのまま自分で勉強していけます。しかし、その知識にエピソードなどを加えた話を聞くことで、より効率よく知識を吸収できる機会。それが授業だと僕は思っています。

ただ気になるのは、授業の受け方です。未だに多くの先生方は、黒板を使って授業をします。黒板には先生がリアルタイムで文字を書いていき、話を進めます。それと同時に生徒は黒板に書かれた文字を自分の手元にあるノートに書き写します。

その光景を見て、僕は思うんですよ。これは、生徒が板書(先生が黒板に書いた内容)コピー機になっているんじゃないか?と。

今回は、そんなただ黒板の内容をノートに書き写させる授業から脱却しましょうよっていう話をします。

授業の最後で内容をアウトプットする時間を作る

他の記事でひょっとしたら書いたかもしれませんが、僕は普段の授業では、必ず最後に5〜10分かけて、内容を自分のノートにまとめる作業をさせています。これが生徒にとってのアウトプットになるからです。

勉強とはインプットとアウトプットの繰り返しです。先生から話を聞くのがインプットで、それをまとめたり、書き出したり、問題を解いたりするのがアウトプットです。

生徒が自宅で今日の授業でやったことをアウトプットする時間が取れるならそれでも良いんですが、中には家庭での勉強時間がゼロという生徒もいます。そういう生徒がいる場合に、勉強できないのは、家でやらないからだ!と決めつけるのは簡単ですが、授業中にアウトプットさせることで、家庭でのアウトプットが2回目になるわけですよ。

定期的にアウトプットすれば授業の内容を短期記憶から長期記憶に移行できるので、授業内にアウトプットさせるのがベストです。

知識は予めプリントで配布しておく

数学などはリアルタイムで数式を解いていくことに価値がありますが、まとめたものを授業の初めに配っても良いと思います。

そうすれば生徒は、書き写すことをせず、先生の話を聞くことに集中できるからです。調理実習のように作業する場面を見せたり、一緒にやらせたりする教科は別として、知識は知識です。ただ事実を伝えるだけであればプリントで十分です。

例えば歌を聞くにしても、リアルタイムで歌詞を書きながら聞くのではなく、歌詞カードを見ながら聞く方が、頭に内容が入ってきます。その方が理解しやすいのです。また、内容を一度見ておけば、先生の話を聞いていて「あ、今の話はプリントのここの部分の話ね」と生徒らも思い、理解しやすいのです。

授業のハードルが上がる

ただこの授業方式は、先生方の授業のハードルが上がります。当然です。話が下手な人の授業を受けるより、まとめてあるプリントを頼りに問題を解いた方が早いとおもっている生徒もいるからです。

だからこそレベルの高い授業が求められるわけです。生徒に自分で勉強した方が早いって思われたら負けです。

だからって知識が詰まったプリントを配布しないというのも、生徒のためになる授業ができないと言っているのと一緒です。

まとめ

生徒が授業の内容をまとめて書いているノートというのは、自分向けに作った学習コンテンツです。後で見返した時に内容を思い出すためのものです。板書は、我々教員が生徒に説明するためにノートにまとめたものを黒板に書いたものです。

つまり、「板書≠全ての生徒が理解しやすいコンテンツ」なんですよ。

勉強とはインプットとアウトプットをバランスよくやるもの。これを授業内でやらせるのが良い授業だと僕は考えています。ただ先生が一方的に話すのも、ただ問題集を解かせているだけでも、どちらかが欠けています。

生徒の心に残るような、為になるような授業を、僕自身これからも心がけていきます。