僕は毎日楽しく生きています。ほんと、こう発言できるのが幸せだなぁって心から思います。世の中には、仕事が嫌で嫌で仕方ないっていう人も大勢いる。そんな中、僕は仕事が楽しくて仕方ないって言っている。

仕事量の多さに、メンタルをやられた時期もありました。ただ、その時であっても、僕は「教師の仕事ってどう?」って聞かれる度に、「毎日が楽しいよ」って答えていました。これが僕としてもビックリで、あぁ、自分にとっては、嫌なことがあっても、それを含めて今の仕事の事を楽しいって思えているんだなっていう発見になりました。

今回は、僕が教員として仕事をしている中で、何がそんなに楽しいのかという中身について話したいと思います。

「楽しい」の本当の意味

頭文字Dという山の峠道で車がレースをする漫画があります。その中に登場するスパイラルのゼロというキャラクターが、「楽しい」という感情の意味についてこう語っていました。

楽しむという感覚は、レベルの高い状態なんだ。ただアドレナリンが出ている状況を楽しいと思いこんでいるうちはまだレベルが低い。

僕が発言する「楽しい」という言葉は、これに近い意味を指しています。飲み会とかでうぇいうぇいやっている感じの楽しいではなくて、そこにかける熱量というか努力も、努力ですら感じないほど夢中になっている状態。それを僕は「楽しい」という感情の意味だと捉えています。

自分が好きなことについて話せる

僕は今教えている「情報」という教科が大好きです。小学生の頃からコンピュータが好きでした。大学時代にはLinuxに目覚めて、カーネルをコンパイルしていました。ソースコードをmakeするのもなんか楽しいんですよね。自分が欲しいと思ったものをシェルスクリプトで書くのも好きでした。この辺りの知識が高校の情報という教科に必要かどうかはおいといて、自分がドハマリした分野の知識と授業で教えるべき部分が部分集合みたいな感じにかなり重複している教科。これが「情報」という教科だと思っています。

つまり、僕が教科書を使って授業をやるにしても、その内容が自分にとって好きな分野で、好きなことについて話している状態なわけですよ。これが楽しくないわけがない。生徒の中には教科書用語で言う「テクノ不安症」(パソコンやスマホの使い方が分からなくて、そういう機器に対して抵抗があり、不安を抱えている人。見るだけで「私は分からない物」として思考停止している人を指す言葉。)もいますが、その子たちにとって「パソコンとかネットに詳しくて、それが好きな先生がいたなぁ」くらいの印象が残ればそれで良しとしています。

教師自身が楽しそうに話をしないと、生徒はついてきません。勉強について、これは楽しいことなんだと。勉強することは、新しい知識を得ることは、本当に楽しいことなんだということを教師が語るべきだって僕は思います。生徒は、授業をしている先生の姿を見てるんですよね。楽しそうに話すのか眠そうに話すのか、苦しそうに話すのか、表情をよく見ています。せめて子供たちには「あぁ、先生はこの話をするのが好きなんだな」ってことくらいを思ってもらえると良いなって思ってるわけですよ。

言ってみれば、オタクが一番好きな事について話している感覚です。その内容がそのまま教科になっていて、科目に分かれている印象です。そう思うと、好きな事について好きなだけ語れる授業って、良いもんですよ。

子どもたちの成長する姿を間近で見ることが楽しい

前の項目では、自分が好きな分野について好きなだけ話せるから楽しいという内容で話をしました。実はこれだけでは、教員には向いていないんですよね。何故なら教育の目的は、人間の成長だからです。

好きな事を好きなだけ語っているだけでは、それは教育とは言えません。

自分が担当する教科を通して、子どもたちがその教科についての理解を深めていくことを手伝うこと。この教科は、こんなにも面白くて、これほどまでに生活に身近で、知識を深めていくことがとっても有益で、それでいて楽しい。ただ試験範囲を終わらせるために授業をするのではなく、その教科や科目について興味を持ってもらい、好きになってもらい、のめり込んでもらうこと。それが、学習指導要領にある生きる力の原動力になります。

教員として働く魅力は、好きな事について話したいだけ話すだけではなくて、生徒らの成長を見届けること。これに尽きます。子ども達の能力がどうしたら上がるのかを考えて、問題を出題する。子ども達の「わかった!」という反応を示してくれた時なんて、僕は飛び上がるほど嬉しいですよ。

子ども達が問題にぶつかるのを見ているだけでも感慨深いものがあります。あぁ、この子は、今こういう壁にぶつかっているんだなぁ。がんばれ!って思いながら見守ったりもします。何かを達成したり、ダメだったり、そんな人生の節目に関わることが出来るのが、たまらなく良いんですよ。

自分がこれまで得た知識と経験を使って、子ども達に丁度良いヒントを、絶妙なタイミングで伝える。これが上手くいくと、その子の能力が飛躍的に上がったりします。生徒の才能を上手く引き出せた時は本当に嬉しくなります。あぁ、僕はこのために教師という職を選んだんだ。と、心から思う瞬間です。

学級担任をすると、顔も性格も全然違う40人の子ども達の、心の成長のための手立てを考えます。楽しい。時に寄り添ったり、時に遠くから見守ったりしながら、成長を促していく。これが楽しくて仕方ないんですよ。

成長ドラマを起こす&間近で見たいなら教師になるべき

映画やドラマ、小説やアニメが好きで、物語を追うのが好きだから、子ども達の人生の一部分を見せてもらうだけでも嬉しいと僕は思います。それだけでも良いのに、そこに関わることが許されている職業。それが教員です。だからこそ、毎日がとにかく楽しいんですよ。

こんなに毎日が楽しいと思える職業は、他いないんじゃないかと思います。それだけの魅力が、教職にはあるんですよ。