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こんにちは、ジュン@jun3010meです。

今回は、教師とタブレット端末と、
それに関わる著作権のお話です。

教員のタブレット所持率が結構上がっている

iPadがこの世に登場してから5年が経とうとしていますね。

家にタブレット端末がある。
という家庭が増えているのではないでしょうか。

それに伴って、教師や塾講師など、
教育に関わる人達の中でも、
iPadを初めとするタブレット端末を所有する人が、
結構増えてきています。

はてさて、教育において、
タブレット端末はどこまで活用できるんでしょうね。

特に写真や動画の撮影機能は、
大活躍しそうです。

デジタルツールを利用することで
必ず発生するのが、著作権の問題です。

今回は、「個人所有のタブレットPCに、自炊した教科書を入れて、
授業で利用する」ということが、
著作権的にOKかどうかを調べてみました。

学校(職場)で個人のタブレット端末を使用することはOK?

さて、順番に考えましょう。
最初の問題は、「そもそも個人所有のタブレット端末を仕事に使って良いの?」という点からです。

結論としては、所属する県や自治体によって対応が違うので要確認です。

スマートフォンが普及した今、
タブレットPCと同等の機能を備えたタブレットPCを禁止して
スマホは元々携帯電話だからオッケー!

なんてことを言い出したら明らかに矛盾していますね。

「個人所有のパソコンは仕事に使ってはいけないけど、
タブレットPCなら授業に活用しても良いよ!
ただし、学校のネットワークにも繋げないし、
生徒の個人情報も入れないでね!」
と対応している学校が、最近は増えてきているようです。

使う際は申請が必要なケースもあるので、
職場毎に確認が必要です。

自炊した教科書を授業で使うのはOK?

ここで言う「自炊」とは、
自分で料理をすることではなく、
書籍を電子化することです。

電子書籍がそこそこ普及した今日でも、
未だに電子化されていない書物があります。

そんな紙媒体でしか存在しないものを、
自分でのり付け部分を裁断し、
ドキュメントスキャナで読み込み、
PDFファイルとして保存するわけですね。

自炊という行為そのものは違法?

自炊、すなわち本を自分で裁断し、スキャナで読み込んで複製行為を行う。
これは、個人で行う限り、適法です。

違法ではありません。

個人で楽しむ場合において、著作権法第30条で
私的複製として認められています。

自分が購入した音楽CDを、
iTunesに取り込むのと同じ行為にあたります。

自炊したデータを授業で使うのは違法?

次の問題として出てくるのは、
自分で複製した著作物を、授業で使うことが適法かどうかです。

先ほど、自炊は私的複製にあたるから適法と書きました。

自分で購入した著作物を、自分が使う為に複製することが私的複製。
なのでOKなんです。

では、授業で使う場合はどうか。
授業で使う。つまり個人で楽しむ範囲を超えることとなるので、
私的複製ではなくなります

授業で活用するということは、自分以外の人間に見せるということ。
これは明らかに私的複製ではありません。

しかし、著作権法第35条には、こう書かれています。

(学校その他の教育機関における複製等)
第三十五条  学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)
において教育を担任する者及び授業を受ける者は、
その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、
必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。

ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし
著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

著作権法

学校や塾は教育機関なので、この第35条に定められている内容に基づいて、
著作物の複製が認められている
んですね。

つまり、自炊したデータを生徒に見せる為にプロジェクタに投影する行為は適法です。

留意点が2点ある

ただし、自炊した教材を授業で使うことには、
いくつか留意点があります。

1つ目は、生徒が同じ教材を購入していることです。

これは問題集などのドリル教材でよくある話ですが、
問題集のサンプルを教材メーカーの営業さんからもらい、
それを生徒分コピーして授業で使う。
これは明らかに違法行為です。
著作権法第35条の最後の部分にある、「著作権者の利益を不当に害すること」に当たる行為なので、やってはならんのです。

つまり、授業で使うのであれば、その授業を受ける生徒も
同じ教材を購入する必要があります。

2つ目は、自炊したデータを活用する頻度です。
最近の教材メーカーはパソコンで表示する為の電子版教科書を用意している場合が多いです。

なので、プロジェクタに映す場合は、本来ならそちらを使うべきです。
しかし、使い勝手の善し悪しもある為、

常に自炊した教材を使い続けるのではなく、
部分的に使うのであれば、著作権者の利益を不当には害しません。
必要な範囲で使うわけですから。

より良い授業を行う為に、バランスよく使う。

この利用者と著作権者との絶妙なバランスは、
守らなければなりません。

まとめ

それではまとめます。

・個人のiPad(タブレット端末)を学校や塾で活用できるかは職場で要確認
・自炊という行為は自分で行うなら適法
・自炊した教科書を授業で使うことは適法!ただし常に使うのではなく、使うタイミング・使わないタイミングのバランスが必要

如何だったでしょうか。
今回この疑問を解決する為に、公益社団法人著作権情報センターに確認を取りました。
ご協力ありがとうございました。

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相談室・資料室 | 相談室・資料室 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

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著作権法

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学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン – gaide_35.pdf