最近、僕の中でウルトラセブンへの愛が再燃しています。原因は50周年イベントです。
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ウルトラセブン 放送開始50年記念 モロボシ・ダンの名をかりて|高島屋
これを見に行きたい。すんごく見に行きたい。というか今週末これだけの為に大阪へ行ってきます。(`・ω・´)
そこで今回紹介したいのは、ウルトラセブン第26話の『超兵器R1号』というお話です。
予備知識:ウルトラセブンは実は複雑な構図の物語
初代ウルトラマンは、怪獣とのプロレス的対決を演出することが多かったんですが、次回作のウルトラセブンの物語は少し違います。
ウルトラセブンは光の国から来た宇宙人です。地球人になりすまして地球防衛軍ウルトラ警備隊の隊員となります。そして、宇宙人からの侵略から地球を救っていくのです。
ウルトラセブンは地球人ではない
ウルトラセブンは地球人ではありません。「それくらい知ってるよ」と思われるかもしれませんが重要な設定です。
宇宙人でありながら地球人の味方をし、他の宇宙人への攻撃に加勢します。というか地球人が手に負えなくなった宇宙人や海獣を木っ端微塵にします。
時には地球へ責めてきた宇宙人から「ウルトラセブン、なぜお前は地球人の味方をするんだ!」と責められたりもします。お話の中ではセブンは地球と地球人を愛していることになっています。
第26話 超兵器R1号
さて、話を今回見たストーリーに戻します。
この26話は、冒頭で「新型ミサイル、超兵器R1号が完成した!」というところから始まります。詳しくはこちらのWikiを参照した方が早そうですね。
地球防衛軍が遂に、惑星一つをぶっ飛ばせうる超威力の弾道弾を開発した事から物語は始まる。
メインスタッフのセガワ博士、マエノ博士らが持ってきた超兵器「R1号」の図面を見て隊員達は歓喜。隊員の多くは「この存在があるだけ侵略者はいなくなる」、そう信じていた。
フルハシ「地球を侵略しようとする惑星なんか、ボタンひとつで木っ端微塵だぁ!」
アンヌ「使わなくても、超兵器があるだけで平和が守れるんだわ」
……しかし、一人浮かない顔をした隊員がいた。我らがセブン、ダン隊員である。
ダン「地球を守るためなら、何をしてもいいのですか?」そう、フルハシ隊員に問いただした。しかしフルハシ隊員は「忘れるなダン、地球は狙われているんだ」と言い、実験を止めようと参謀室に向かったダンを制止する。
ダンは叫ぶ。侵略者は超兵器に対抗して、もっと強烈な破壊兵器を作りますよ!
フルハシは平然と返す。我々はそれよりも、強力な兵器をまた作ればいいじゃないか!
ダン「 それは……血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ 」
この後、ギエロン星獣がR1ミサイルの放射能を浴び、凶暴化。それをウルトラセブンがやっつけるのです。
要するに、とある国が核ミサイルを発射。その後のトラブルを、関係のない宇宙人が解決した。という感じになっちゃってるわけですよ。
この回の放送は1968年3月31日です。冷戦の歴史を辿ると、部分的核実験禁止条約(1963年8月5日にアメリカ、イギリス、ソ連との間で調印された核兵器の一部の実験を禁止する条約)の5年後のことです。
ウルトラマンという作品には、こうした時代背景が盛り込まれることが多くあります。最近でいうと、現代ウルトラマンは暴力を推奨しないため、怪獣を切り刻んだり爆破することなく倒しています。
それは……血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ。
主人公でありウルトラセブンに変身する能力を持つ男、モロボシ・ダン隊員が26話で話した台詞です。
超兵器R1号が宇宙からの侵略からの抑止力になる。→宇宙人はもっと強力な兵器で侵略してくるぞ!→じゃあもっと強力な超兵器を!
という流れになりそうな時にこの台詞が出ました。
日本では、50年前にテレビ放送された子ども向け番組で、こんなにもメッセージ性の高いものを放送していたんですね。
感想
ああ、やっぱりウルトラセブンは良いなぁ。
自分の国に攻めてくる敵がいて、それを自国の防衛力ではなく、他の人に助けてもらって解決する。自分の国は、自分の力で守るべきでは?というどこかで聞いたような議論が生まれそうな作品。これこそがウルトラセブンなんですね。
作り手の込めたメッセージを読み取るのが本当に楽しい作品です。
ちなみに最近は侵略が何故失敗したのかという分析本まで出ています。
まだ多くの人に愛されているということを、改めて思い知らされますね。